https://www.cnn.co.jp/storage/2021/12/20/7fced2422c1fab8c3deded15f832eba7/t/480/270/d/01-hermitage-russia-cats-qwow-super-169.jpg

(CNN) ロシアのサンクトペテルブルクにある国立エルミタージュ美術館。大広間を歩くと、足元の配管からかすかな鳴き声が聞こえてくるかもしれない。

かつてロシア皇帝の宮殿だった「冬宮」の地下に広がる空間では、50匹ほどの猫たちが、まるで王族のような待遇を受けている。「猫の家」と呼ばれるメインルームでエルミタージュの職員に食事などの世話をしてもらい、必要な時は獣医師が駆け付ける。

宮殿には、仲間の猫たちとの触れ合いを好まない非社交的な猫たちのための特別な部屋もある。地下の広間を散歩したり、大きなパイプの上に寝そべったり、宮殿の隅々まで自由に駆け回ったりする猫もいる。

エルミタージュには猫専用の報道官、マリア・ハルトゥネンさんもいる。猫たちは展示室には入れないため、一般客の目に触れることはほとんどない。それでも人気の高さは変わらないとハルトゥネンさんは言う。

「多分、とても温厚だからかもしれないし、巨大な美術館と可愛い猫という変わった組み合わせのせいかもしれない」。ちなみにハルトゥネンさんには猫アレルギーがあるという。

■美術館の守護者

現代のエルミタージュ美術館は5つの建物が一般に公開されており、その中心にあるのが冬宮だ。300年ほど前に建造された宮殿には、最初から猫がいた。女帝エリザベータが布告を出し、宮殿の地下のネズミを退治させるため、サンクトペテルブルクの南東にあるカザンの町から約1200キロをはるばる旅して猫を連れて来るよう命令した。

猫たちは今も同美術館の地下にすみついている。美術館の面積は23万3000平方メートルと世界最大級。レンブラントやマティスの作品、古代ギリシャの壺(つぼ)など300万点以上の美術品や工芸品を所蔵する。

館内の散策は、ロシア皇帝の足跡をたどるに等しい。「紋章の間」から「戦争の間」へと抜け、「大玉座の間」に入ると、その名の通り、ロマノフ王朝時代の玉座の前に立つことができる。

女帝エリザベータはこの宮殿のバロック様式を承認し、晩年の1750年代〜60年代にかけて宮殿が建造された。その父のピョートル1世は、サンクトペテルブルクの創建者でもあり、国家の西洋化を推し進めて最先端のイタリア建築の建物を建設した。

エルミタージュのコレクションは、芸術作品を収集した女帝エカテリーナ2世の治世に生まれた。美術館の猫たちの伝説も受け継がれ、エカテリーナ2世は猫たちを「美術館の守護者」と呼んだと伝えられる。

冬宮の隣には「小エルミタージュ」が建設されて美術館となったが、冬宮は私設美術館のままだった。冬宮が一般に公開されたのは1852年、ニコライ1世の治世だった。

※以下省略。記事全文はソース元にて

2021.12.31 Fri posted at 17:19 JST
https://www.cnn.co.jp/travel/35181126.html