東京都立高校を中心とする都立学校が、地毛でも髪を一律に黒く染めさせるなどの校則5項目について、2022年度に全廃することが明らかになった。都教育委員会が10日の定例会で報告した。廃止する校則はこのほか、下着の色を指定する▽頭の側面を刈り上げ、頭頂部の髪を伸ばす「ツーブロック」を禁止する――など。生徒と学校側が話し合い、延べ196課程で見直しを決めた。学校の理不尽なルールを「ブラック校則」と呼んで問題視する動きは各地に広がる。都立学校は4月からホームページで校則を公開する。

 都教委は「ツーブロック禁止」など、必要性が疑われる校則を6項目にわたって提示。高校を中心とした全都立学校196校の全日制、定時制など計240課程に対して21年4月、該当する校則の有無を調査した。その結果、延べ216課程で同趣旨の校則があることが判明した(複数項目に該当する場合、それぞれ1課程と計算)。

 都教委は学校側にこれらの校則の必要性を点検するよう通知。各学校で生徒会役員と教員が意見を交わしたり、保護者から聞き取りをしたりした結果、21年12月までに延べ196課程が該当する校則の来年度からの廃止を決めた。6項目のうち5項目は全ての課程が廃止する。

地毛証明書の任意提出は残る
 一方で、生まれつき髪が黒くない生徒や、くせ毛の生徒に「地毛証明書」を任意で提出させる校則については、35課程が廃止を決め、20課程はそのまま残す。生徒や保護者から「届け出を残してほしい」という声があったという。

 10日の都教委定例会では、教育委員から点検を評価する声が相次いだ。北村友人委員は「生徒たち自身が主体的に考えて物事を決めていく環境が尊重されることが大事。大きな一歩だと感じる」と述べた。

 山口香委員は「すばらしい取り組みだが、ここまで時間がかかったのは残念」とした上で、「日本人はルールをただ守ることが美徳だという教育をされてきた。みんなで納得してルールを守る社会をつくるにはどうすればいいか、議論するきっかけになれば」と話した。【竹内麻子】

都立学校の校則
 ※丸括弧の数字は、その校則を設けている課程の数で、21年4月と22年度以降

・髪を一律に黒く染める(7→0)

・「地毛証明書」を任意で提出する(55→20)

・「ツーブロック」を禁止する(24→0)

・謹慎は校内の別室ではなく自宅で行う(22→0)

・下着の色を指定する(13→0)

・「高校生らしい」などの曖昧な表現で指導する(95→0)

毎日新聞 2022/3/10 22:27(最終更新 3/10 23:23) 1035文字
https://mainichi.jp/articles/20220310/k00/00m/040/347000c