>>765
面白いから次も引用

――え……アメリカは、いま現在、まさにその三大勢力との関係が緊迫しているのでは?

中野 そうです。まさに、ブレジンスキーが最も恐れていた事態に陥ってしまったわけです。それも、1997年の時点で一世代はアメリカの覇権が続くことを想定していたにもかかわらず、20年もたたないうちに、東ヨーロッパ、中東、東アジアの三方面において、地政学的な不安定化が同時多発的に生じてしまった。

 これについて、国際政治学者のウォルター・ラッセル・ミードは、ロシア、イラン、中国の三大勢力が、冷戦後に成立した国際秩序を修正しようとしているのだと解釈しています。

 ロシアはかつてのソ連の勢力圏を復活させたいと願っており、中国は、アジアからアメリカの勢力を追い出そうとしている。イランは、サウジアラビアを盟主とするスンニ派勢力に支配された中東を、イラン率いるシーア派が支配するものへと代えるという野心をもっている。そして、この三大勢力にとって共通の敵が、アメリカなのだ、と。

――恐ろしい話ですね。なぜ、そんなことになってしまったんでしょう?

中野 アメリカが根本的に見誤っていたことがあるんです。