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◆就業への影響はデルタ株を超える

 後遺症は就業にも影響する。働いていた患者約2000人への調査では、「後遺症が仕事に影響した」と答えた割合が、昨年末まで(デルタ株以前)は66.2%だったが、オミクロン株では76.2%と10ポイント増えた。
 デルタ株以前は1881人、オミクロン株は151人と人数に差があり、単純な比較は難しいが、休職した人はデルタ株以前の4割に対し、オミクロン株は6割に上っている。解雇や退職に至った人は、オミクロン株で2人、デルタ株以前では約140人いた。
 後遺症による倦怠感や気分の落ち込みなどは、他人からは分かりにくい。平畑院長は「職場や学校に行けないのを『怠けているだけ』と言われる患者もいる」と説明する。
 動機ははっきりしないが、分かっているだけで同クリニックの後遺症外来を受診していた患者2人が自ら命を絶った。診察券を見た警察から身元確認の電話があったという。平畑院長は「突然働けなくなったら誰でもショックを受ける。社会の無理解で、さらに傷つけられている部分もある」と後遺症への理解を求めた。