性同一性障害 理解と支援を 当事者交え事例共有 :北陸中日新聞Web
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性同一性障害(GID)の外科治療を専門に扱う富山大病院ジェンダーセンター所属の医師らが、富山市杉谷の同病院内で「GID研究会」を開いた。(西川侑里)

心と体の性が一致しない性同一性障害への支援の輪を広げようと、同センターの医師らが二月に研究会を設立。今回は二回目の会合で、ビデオ会議システムを併用して、障害の当事者や医療、福祉、教育関係者ら六十八人が出席した。

人権教育に力を入れる県西部の中学校の教頭が、性同一性障害と診断された生徒を新入生で迎え入れた経験を紹介。その生徒は小学生当時、赤いランドセルを嫌がり、男子児童と肩を組んで歩いたり、一緒に男子トイレに入ったりしていたため、保護者から苦情があり、当時の教員から相談を受けていたという。このため、中学校では「入学式から学ランを着て男子として過ごしてもらった。トイレだけは多目的を使ってもらった」という。

その後の生徒の経過については「その子の性格もあるかもしれないが、周りの友だちから嫌なうわさや、『何で』と質問する声は聞こえてこなかった。保護者にもあえて改まっては説明しなかった」と述べた。座長を務めた産婦人科医で県議の種部恭子さんは「従来の体制を変えるのが大変な学校の中では成功事例」と称賛した。

富山市内に住む性同一性障害の五十代患者の講演もあり、就職や銀行手続きなどで「必要以上にカミングアウトを強いられる場面が多い」などとして改善を訴えた。