「絶歌」

〈一九九七年六月二十八日。僕は、僕ではなくなった。陽なたの世界から永久に追放された日。それまで何気なく送ってきた他愛ない日常のひとコマひとコマが、急速に得体のしれない象徴性を帯び始めた日。「少年A」—それが、僕の代名詞となった〉

〈僕はこれから、精神鑑定でも、医療少年院で受けたカウンセリングでも、ついに誰にも打ち明けることができず、二十年以上ものあいだ心の金庫に仕舞い込んできた自らの〝原罪〟ともいえる体験を、あなたに語ろうと思う〉