>>675
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現在ヒロポン患者の生活状況はどうなつておるかと申しますると、ほとんど大部分が下層階級でございます。千二百四人の生活状態を調べましたところが、六七・五%が下層階級で、浮浪者が一四%、中流家庭が一七・七%、上流が〇・八%、六七・五%が下層階級に属しておりまするので、せつかくこういう病院ができましても、なかなかこれを利用することが困難であるということが一つあるのであります。
 それから精神衛生法は強制入院を認めていませんので、ある程度法的にも欠陥があると思うのでありますが、精神病院は他の患者と区別した特別の病床を必要といたしますので、覚醒剤中毒者の入院をなるべく拒否するというような態度もあるようでありまして一特に中毒患者の重症者は精神分裂症として精神病院に入院させるのであります。しかし親権者あるいは保護者から言いますと、ヒロポン患者を精神分裂症、精神病者として入れるということは、いろいろ他に対する思惑、心配がございまして、精神分裂症と診断をして精神病院に入院させるということをみんないやがりまして、結局ひどい中毒患者も入院ができないという状況でございます。