米国が実施した中国に対する新たな半導体輸出規制に、日本も協力することが明らかになった。米国の新規制は冷戦期以来の強力な内容とされ、米国の経済分野の対中戦略は新たな局面に入ったと言われる。果たして、中国のハイテク産業にどれほど影響があるのか。現場を取材した。

国有の新興半導体メーカーで
 中国湖北省の省都、武漢市。ここに本社を置く国有半導体大手「長江存儲科技(YMTC)」の工場で昨年10月、異変が起きた。半導体製造装置の据え付けや保守・点検などのために同社の工場に常駐していた外国メーカーの技術者が、一斉に姿を消したのだ。技術者は、アプライドマテリアルズやラムリサーチ、KLAなど米国メーカーの米国人技術者で、100人以上いたというがみな同社を離れたという。

 「米国人はみんな突然、退去していったよ」。1月上旬、米国人技術者が滞在していた市内の外資系高級ホテルを訪ねると、従業員はそう話した。出勤時間帯でもホテルのロビーは閑散としており、欧米系の人物の姿はほとんどない。ホテルからYMTCの工場には送迎バスが運行されていたが、利用者が減ったためバスからハイヤーに切り替えられたという。記者が送迎ハイヤーに乗り込むと、他の利用者は2人の中国系の男性だけだった。

 市内にあるアプライドマテリアルズなど3社のオフィスも訪ねたが、こちらも欧米系社員の姿はなく、中国人の女性事務員が一人で電話番している事務所もあった。

 「YMTCは半導体製造装置のメンテナンスができず、生産が1割以上落ち込んでいるようだ」。YMTCと取引のある大手企業の関係者は、そう明かす。米国人技術者が消え、装置の保守に必要な部品が手に入らなくなっているという。現地の別の業界関係者によると、Y…(以下有料版で,残り2732文字)

毎日新聞 2023/2/2 04:30(最終更新 2/2 04:30) 有料記事 3460文字
https://mainichi.jp/articles/20230201/k00/00m/020/048000c