Yahoo!オリジナル記事3/1(水) 10:11
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20230301-00339268

(前略)

◆2040年には大学進学率80%超えも
では、最後に2040年の進学状況の予想について。

ニューズウィーク日本版サイト記事「受験地獄はもう遠い過去......時代は『大学全入』から『大学淘汰』へ」には、2040年の大学進学率を60%としたうえで、記事ではこう書いています。

2040年の18歳人口は77万人なので、大学進学者63万5000人を確保するには、同世代ベースの進学率が82.5%にならないといけない。あり得ないことだ。

私は、その「あり得ない」とする80%超えはあり得る、と考えています。低く見ても70%超えは十分な射程圏内でしょう。

こう、予想する根拠は「社会の高度化・情報化に伴う高学歴化」「低所得者層への大学進学支援」「オンライン授業の普及」「短大・専門学校進学のさらなる減少」の4点です。

1点目の「社会の高度化・情報化」については前記の通りです。今後もさらに進むでしょうし、そうなると、高収入を得るためには大学進学が必要となります。

2点目の「低所得者層への大学進学支援」、これはすでに2019年の高等教育無償化法で実現しています。今後、少子化対策の一環で、対象の枠をさらに広げることが予想されます。大学進学や生活費等を国が支援し、返済義務がない、ということになれば、大学進学率をさらに押し上げることになります。

3点目の「オンライン授業の普及」、この恩恵を受けるのは地方の高校生です。大学進学率が低いのは地方に集中しています。2022年だと秋田県(39.6%)、岩手県(39.7%)、山口県(40.3%)、宮崎県(40.5%)、大分県(40.7%)など。

こうした地方の高校生は、大学進学希望があっても、地元の大学の少なさなどもあって、断念するケースが多くあります。

今後、通信制大学だけなく、一般大学でもオンライン授業が普及していけば、地方にいながら授業を受講することが可能となります(年に数回の対面・集中授業は必要でしょうけど)。

すでに東京都と京都府が大学進学率70%を超えています。地方の大学進学率が上がれば、全体の大学進学率も上がることになります。

4点目の「短大・専門学校進学のさらなる減少」、これは1点目とやや重複します。付け加えますと、専門学校は専門職大学という新しいカテゴリーが誕生しており、こちらに転換する専門学校が今後、増えていくでしょう。

この4点以外にも、留学産業の拡大(アメリカ、ニュージーランドのように、大学留学者受け入れを産業としていく)、高卒就職の変容(高卒就職者を就業と合わせて夜間・通信制大学に入学させる/静岡銀行などが実施済み)なども、大学進学率を押し上げる要素として考えられます。

もちろん、私の予想はあくまでも予想。今後、大学を巡る環境は色々と変わっていくに違いありません。その間に、「大学全入」論がどれくらい出るのか、あるいは本当に大学全入・大学冬の時代が到来するのか、観察を続けたいと考えています。

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