大手広告会社・電通(東京)の新入社員だった高橋まつりさんが、24歳で過労自殺してから25日で8年となる。母親の 幸美ゆきみ さん(60)が手記を公表し、「愛する娘を失った悲しみは決して癒えることはありません」と心境をつづった。

 手記では、「甲南医療センター」(神戸市)の男性専攻医が昨年5月に自殺し労災認定されたり、宝塚歌劇団の 宙そら 組に所属する女性が今年9月に死亡したりしたことについて、「本当に悲しい」と言及。「長時間労働が当たり前の医療現場や、厳しい上下関係を重んじてきた劇団の文化は、当時の電通の社風が思い起こされてなりません」と記した。

 その上で、「過労死の撲滅は実現しておらず、国は一刻も早く実効性のある対策を講じてほしい」と強調。「過重労働やハラスメントが原因で苦しんだり、命を落とす人がいなくなるよう心から願っています」と呼びかけた。

 幸美さんは昨年、子宮体がんの診断を受けて手術を受けた。体調は万全ではないものの、11月には青森、鹿児島など4県でシンポジウムに参加するなど、過労死防止に向けた活動を続けている。

 幸美さんは「誰もが安心して働き、希望を持って人生を送れる国になるようまつりと共に力を尽くしていきたいと思います」と訴えた。

読売新聞 2023/12/25 00:00
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231224-OYT1T50071/
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