https://ichef.bbci.co.uk/news/950/cpsprodpb/A738/production/_102880824_johnson_burqa_getty-2.jpg
ボリス・ジョンソン前英外相が、ムスリム(イスラム教徒)女性の一部が身に着ける、全身をすっぽり隠す「ブルカ」について、「郵便ポスト」や「銀行強盗」のようだと新聞コラムに書き、物議を醸している。ムスリム差別を助長する発言だなど激しい非難が与党・保守党に寄せられ、保守党として差別かどうか調査する意向を示す一方で、保守党の有力議員や著名コメディアンからは擁護の発言も出ている。コラム発表時はイタリアで休暇中だった本人は12日、帰国した自宅前で待機し続ける報道陣にコメントはしない代わりに紅茶を振舞った。
ジョンソン前外相はこの日、オックスフォードシャーの自宅前で報道陣に対して、「何時間もずっとお待たせして申し訳ない」、「この件について僕は何も言うことはない。こうして紅茶をお出しする以外は」と言いながら、盆に載せた紅茶を振舞った。
5日付の保守系新聞デイリー・テレグラフでジョンソン氏は、「ブルカ」を法律で禁止するのは支持しないが、女性が自ら選んで「郵便ポストのような格好をする」など「まったく馬鹿げている」と書いた。まるで「銀行強盗」のような姿だとも書いた。
テリーザ・メイ首相の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)政策をめぐり7月上旬に突如、外相を辞任したジョンソン氏は、2016年夏のブレグジット国民投票の後、保守党党首ひいては首相の座を目指していた。メイ首相の退陣を求め後任になる意向ではないかと取りざたされる中、メイ首相やブランドン・ルイス幹事長など複数の党幹部がジョンソン氏に謝罪や発言撤回を呼びかけたが、ジョンソン氏は応じていない。
前ロンドン市長でもあるジョンソン下院議員に近い消息筋は、「難しい問題について議論を封じ込めるというわなに落ちてはならない。問題があるなら問題だと言わなくてはならない。リベラルな価値観のために発言しないなら、単に反動主義者や過激主義者の思うままだ」と、前外相の意図について話している。
■批判と擁護の両方
英政府の平等人権委員会(EHRC)は10日、ジョンソン氏の発言が「ムスリム女性を中傷する」恐れがあると懸念を示した。レベッカ・ヒルセンラス委員長は、「民主主義社会は表現の自由にその実効性を依存しており、不見識な意見や不寛容な意見の表現は一般的に、違法ではない」としつつ、「今回のボリス・ジョンソン氏の言葉遣いは、ムスリム女性を人間ではなく物扱いし、中傷するおそれがあり、扇動的で社会を分断する。政治関係者が指導者となるからには、社会の手本となり、しっかり責任のある態度で議論するべきだ。このような表現は、正当な対話を妨げる物になりかねない」と声明を発表した。
EHRCは市民からの苦情に応えてコメントしたものと見られる。同様に保守党の理事会も、多数の苦情を受けて、ジョンソン氏の発言が党の規則に違反するかを調査しているという。
党内調査について元保守党党首のイアン・ダンカン・スミス議員はBBCに、「下院議員の発言について、党内部の仕組みを使って下院議員をだまらせるべきではないと思っている」と、ジョンソン氏を擁護した。
ジョンソン氏と共にブレグジットを推進してきた保守党の有力者、ジェイコブ・リース=モッグ下院議員も11日付のテレグラフ紙に、自分は「全面的に同じ意見」だと書いた。自分もブルカの全面禁止には反対だと言明した上で、リース=モッグ議員は、ジョンソン氏の書いた内容が「(ムスリム女性を)被害者扱いしたりいじめたりするものだなど」「まったく馬鹿げている」し、ジョンソン氏が党の規約に違反したとは考えにくいと主張した。
リース=モッグ氏は、批判的な保守党幹部はジョンソン氏が「次々と成功を重ね、有権者に人気で、カリスマがある」から「嫉妬している」のだろうと書き、さらには「ボリス批判は単に野党を助けるだけだ」と党内に釘を刺した。
他にも、保守党のアンドリュー・ブリグデン下院議員はBBCラジオに対して、ムスリム女性の衣類について他の議員が発言しても問題視されていないと述べ、「これはイスラム差別の問題ではない。これは、ボリス・ジョンソンが左派や保守党内から政治的な脅威と見られているから起きている。彼を痛めつけ辱めようとしているんだ」と擁護した。
>>2以降に続く
8月13日 BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/45165868
ボリス・ジョンソン前英外相が、ムスリム(イスラム教徒)女性の一部が身に着ける、全身をすっぽり隠す「ブルカ」について、「郵便ポスト」や「銀行強盗」のようだと新聞コラムに書き、物議を醸している。ムスリム差別を助長する発言だなど激しい非難が与党・保守党に寄せられ、保守党として差別かどうか調査する意向を示す一方で、保守党の有力議員や著名コメディアンからは擁護の発言も出ている。コラム発表時はイタリアで休暇中だった本人は12日、帰国した自宅前で待機し続ける報道陣にコメントはしない代わりに紅茶を振舞った。
ジョンソン前外相はこの日、オックスフォードシャーの自宅前で報道陣に対して、「何時間もずっとお待たせして申し訳ない」、「この件について僕は何も言うことはない。こうして紅茶をお出しする以外は」と言いながら、盆に載せた紅茶を振舞った。
5日付の保守系新聞デイリー・テレグラフでジョンソン氏は、「ブルカ」を法律で禁止するのは支持しないが、女性が自ら選んで「郵便ポストのような格好をする」など「まったく馬鹿げている」と書いた。まるで「銀行強盗」のような姿だとも書いた。
テリーザ・メイ首相の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)政策をめぐり7月上旬に突如、外相を辞任したジョンソン氏は、2016年夏のブレグジット国民投票の後、保守党党首ひいては首相の座を目指していた。メイ首相の退陣を求め後任になる意向ではないかと取りざたされる中、メイ首相やブランドン・ルイス幹事長など複数の党幹部がジョンソン氏に謝罪や発言撤回を呼びかけたが、ジョンソン氏は応じていない。
前ロンドン市長でもあるジョンソン下院議員に近い消息筋は、「難しい問題について議論を封じ込めるというわなに落ちてはならない。問題があるなら問題だと言わなくてはならない。リベラルな価値観のために発言しないなら、単に反動主義者や過激主義者の思うままだ」と、前外相の意図について話している。
■批判と擁護の両方
英政府の平等人権委員会(EHRC)は10日、ジョンソン氏の発言が「ムスリム女性を中傷する」恐れがあると懸念を示した。レベッカ・ヒルセンラス委員長は、「民主主義社会は表現の自由にその実効性を依存しており、不見識な意見や不寛容な意見の表現は一般的に、違法ではない」としつつ、「今回のボリス・ジョンソン氏の言葉遣いは、ムスリム女性を人間ではなく物扱いし、中傷するおそれがあり、扇動的で社会を分断する。政治関係者が指導者となるからには、社会の手本となり、しっかり責任のある態度で議論するべきだ。このような表現は、正当な対話を妨げる物になりかねない」と声明を発表した。
EHRCは市民からの苦情に応えてコメントしたものと見られる。同様に保守党の理事会も、多数の苦情を受けて、ジョンソン氏の発言が党の規則に違反するかを調査しているという。
党内調査について元保守党党首のイアン・ダンカン・スミス議員はBBCに、「下院議員の発言について、党内部の仕組みを使って下院議員をだまらせるべきではないと思っている」と、ジョンソン氏を擁護した。
ジョンソン氏と共にブレグジットを推進してきた保守党の有力者、ジェイコブ・リース=モッグ下院議員も11日付のテレグラフ紙に、自分は「全面的に同じ意見」だと書いた。自分もブルカの全面禁止には反対だと言明した上で、リース=モッグ議員は、ジョンソン氏の書いた内容が「(ムスリム女性を)被害者扱いしたりいじめたりするものだなど」「まったく馬鹿げている」し、ジョンソン氏が党の規約に違反したとは考えにくいと主張した。
リース=モッグ氏は、批判的な保守党幹部はジョンソン氏が「次々と成功を重ね、有権者に人気で、カリスマがある」から「嫉妬している」のだろうと書き、さらには「ボリス批判は単に野党を助けるだけだ」と党内に釘を刺した。
他にも、保守党のアンドリュー・ブリグデン下院議員はBBCラジオに対して、ムスリム女性の衣類について他の議員が発言しても問題視されていないと述べ、「これはイスラム差別の問題ではない。これは、ボリス・ジョンソンが左派や保守党内から政治的な脅威と見られているから起きている。彼を痛めつけ辱めようとしているんだ」と擁護した。
>>2以降に続く
8月13日 BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/45165868