新型コロナウイルスの予防対策として、臨時休校になっている学校が多い中、教師による家庭訪問を実施する学校は少なくない。
その中で、事前に教師がいつ訪問するかを知らせず、児童生徒の家庭を訪問するとした学校があり、「抜き打ち家庭訪問」と呼ばれて批判を集めている。
「重大な人権侵害。防犯上も大きな問題を抱えています」と指摘するのは、福岡市の後藤富和弁護士だ。後藤弁護士の長女が通う市立中学校からも、生徒が在宅しているかの確認などを目的に、抜き打ちで家庭訪問を行うとメールが届いたという。
家庭訪問を抜き打ちで実施する必要性は、本当にあるのだろうか。後藤弁護士や福岡市教育委員会に取材した。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●「誤解を与える表現だった」が家庭訪問は続行
また、「防犯」の面からは、「中には教師を装って来訪するものが出てくるかもしれず、生徒達は信頼して自宅ドアを開ける可能性がある。犯罪被害の危険性の大きさは測り知れず、ひとたび事故が起これば取り返しのつかない事態を招く結果となる」と懸念を示した。
「感染拡大防止」についても、新型コロナウイルスに感染していないと証明されていない教師が、約30人の生徒の自宅を訪問し、また学校に戻って他の教師とも接触することは、「感染拡大に寄与する行動としか映らない」とした。
この要望書を提出した後、中学校の校長は後藤弁護士に対し、電話で「誤解を与えるような表現で申し訳ありませんでした」と謝罪したが、翌日届いた3通目のメールには、抜き打ちによる家庭訪問は実施すると書いてあった。
ただし、「都合の悪い場合はご連絡ください、柔軟に対応します」とあり、必ずしも生徒がずっと在宅している必要はなくなったが、「教師が全家庭を訪問しなければならず、負担が大きいという点は変わっていません」と後藤弁護士は話す。
●「抜き打ち家庭訪問」の意図は?
この「抜き打ち家庭訪問」にはどのような意図があったのか。
弁護士ドットコムニュースの取材に対し、福岡市教育委員会は「抜き打ち家庭訪問と言われていますが、教育委員会としては、児童生徒の安全や健康を把握することと、テストの返却が目的であり、抜き打ちで行うものとはとらえていません。生徒を縛りつけようとか、罰則を与えようというような悪意はありませんでした」と説明する。
教育委員会としては、学校に対して家庭訪問の目的を確認し、その目的と家庭の状況に合わせて柔軟に対応することを保護者に伝えるよう、指導したという。
では、なぜこのようなことが起きたのか。
学校が送った1通目のメールには、地域から日中に子ども達が公園にいるという報告があったとも書かれていたという。全国でも、子ども達が公園にいただけで学校側に通報された事例が後をたたない。
そのため、文科省は3月9日、臨時休校中の過ごし方について、「児童生徒の健康維持のために屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりすることなどについて妨げるものではなく、感染リスクを極力減らしながら適切な行動をとっていただくことが重要」という見解をあらためて全国の自治体の学校担当部署などに送っている。
教育委員会は経緯をこう説明する。
「通常の休校措置の場合は、不要不急の外出を控えるよう指導しています。学校側も、また地域の方もそういう認識の中、臨時休校になった当初に『遊びよる子がおるバイ』という苦情の声が地域から上がってきたのは事実です。
また、40人もいる学級で休校中にすべてのご家庭と日程を事前に調整することは困難です。初めてのことだったので、ある程度幅を持たせた中で伺うので、在宅していてくださいという趣旨でしたが、全ての期間、在宅しなければいけないと思わせてしまいました」
全文はソース元で
3/13(金) 10:16配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200313-00010921-bengocom-soci
その中で、事前に教師がいつ訪問するかを知らせず、児童生徒の家庭を訪問するとした学校があり、「抜き打ち家庭訪問」と呼ばれて批判を集めている。
「重大な人権侵害。防犯上も大きな問題を抱えています」と指摘するのは、福岡市の後藤富和弁護士だ。後藤弁護士の長女が通う市立中学校からも、生徒が在宅しているかの確認などを目的に、抜き打ちで家庭訪問を行うとメールが届いたという。
家庭訪問を抜き打ちで実施する必要性は、本当にあるのだろうか。後藤弁護士や福岡市教育委員会に取材した。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●「誤解を与える表現だった」が家庭訪問は続行
また、「防犯」の面からは、「中には教師を装って来訪するものが出てくるかもしれず、生徒達は信頼して自宅ドアを開ける可能性がある。犯罪被害の危険性の大きさは測り知れず、ひとたび事故が起これば取り返しのつかない事態を招く結果となる」と懸念を示した。
「感染拡大防止」についても、新型コロナウイルスに感染していないと証明されていない教師が、約30人の生徒の自宅を訪問し、また学校に戻って他の教師とも接触することは、「感染拡大に寄与する行動としか映らない」とした。
この要望書を提出した後、中学校の校長は後藤弁護士に対し、電話で「誤解を与えるような表現で申し訳ありませんでした」と謝罪したが、翌日届いた3通目のメールには、抜き打ちによる家庭訪問は実施すると書いてあった。
ただし、「都合の悪い場合はご連絡ください、柔軟に対応します」とあり、必ずしも生徒がずっと在宅している必要はなくなったが、「教師が全家庭を訪問しなければならず、負担が大きいという点は変わっていません」と後藤弁護士は話す。
●「抜き打ち家庭訪問」の意図は?
この「抜き打ち家庭訪問」にはどのような意図があったのか。
弁護士ドットコムニュースの取材に対し、福岡市教育委員会は「抜き打ち家庭訪問と言われていますが、教育委員会としては、児童生徒の安全や健康を把握することと、テストの返却が目的であり、抜き打ちで行うものとはとらえていません。生徒を縛りつけようとか、罰則を与えようというような悪意はありませんでした」と説明する。
教育委員会としては、学校に対して家庭訪問の目的を確認し、その目的と家庭の状況に合わせて柔軟に対応することを保護者に伝えるよう、指導したという。
では、なぜこのようなことが起きたのか。
学校が送った1通目のメールには、地域から日中に子ども達が公園にいるという報告があったとも書かれていたという。全国でも、子ども達が公園にいただけで学校側に通報された事例が後をたたない。
そのため、文科省は3月9日、臨時休校中の過ごし方について、「児童生徒の健康維持のために屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりすることなどについて妨げるものではなく、感染リスクを極力減らしながら適切な行動をとっていただくことが重要」という見解をあらためて全国の自治体の学校担当部署などに送っている。
教育委員会は経緯をこう説明する。
「通常の休校措置の場合は、不要不急の外出を控えるよう指導しています。学校側も、また地域の方もそういう認識の中、臨時休校になった当初に『遊びよる子がおるバイ』という苦情の声が地域から上がってきたのは事実です。
また、40人もいる学級で休校中にすべてのご家庭と日程を事前に調整することは困難です。初めてのことだったので、ある程度幅を持たせた中で伺うので、在宅していてくださいという趣旨でしたが、全ての期間、在宅しなければいけないと思わせてしまいました」
全文はソース元で
3/13(金) 10:16配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200313-00010921-bengocom-soci