新型コロナウイルス騒動の余波で、感染症と一見関係ない商品、中でもトイレットペーパーの買い占めが世間を騒がせている。
Twitter上での「次はトイレットペーパーとティッシュペーパーが品薄に」「製造元が中国だから」などといった、
2月末頃に出た無根拠なデマツイートがその一端とされている。
ただ、買い占め騒動は「SNSや口コミのデマ」だけが原因ではないようだ。
例えば、買いだめを行った人へのアンケート調査では、大半が「デマだと分かっていて買い占めに走った」という結果が出ている。
■トイレットペーパーは「特別扱い」
新型コロナと関係が薄いにもかかわらず、同様にデマのせいで買い占めが起きているとされる「おむつ」や「生理用品」については、
トイレットペーパーのような急激な報道量の伸びを見せていない。
メディアが、「デマで騒動になっている」としてトイレットペーパーを特に「特別扱い」で報じている様が浮き彫りになった。
こうしたWeb記事の報道のほとんどはデマをうのみにしているわけではなく、買い占めの異常さを強調したり、
虚偽情報を打ち消そうといった内容が多いとみられる。
ただ、図らずもそうした報道が読者のトイレットペーパーへの注目をマッチポンプ的に喚起してしまった可能性がある。
こうしたメディア報道が、買い占めのような異常行動につながっていくメカニズムは何なのか。
情報行動やメディア効果などを研究する東京大学大学院情報学環・学際情報学府の橋元良明教授(社会心理学)は、
「多くの人は現状では『デマ』に惑わされて惑乱(的な)行動に走っているのではない」と分析する。
「人は自分や家族の安全確保、生命維持が非常に大切であり、そのためには実際に身の回りで(トイレットペーパーなどを)
入手できなくなる恐れがあれば、早めに確保するのが合理的行動」(橋元教授)。
「(買い占めを)静観していても、(その結果)被害を受けるのは最終的に必要な物を手に入れられなかった自分だ」と考えることで
デマを頭から信じずとも買い占め行動に走ってしまっている可能性がある、という。
■「鎮静化には報道自粛が効果的」
そして、橋元教授は「(こうした消費者行動を)煽っている1つの責任はマスメディアにある」と指摘する。
繰り返しトイレットペーパーなどの一部での品不足をマスメディアが頻繁に報じると、
読者・視聴者は「これが世間の人々の現在の非常に大きな関心事だ」と判断する。
これは社会心理学で「議題設定効果」という説に当たる。
結果として消費者の思考回路が「トイレットペーパー購入」中心になる、という。
さらに、空になった棚や行列が報じられると「自分も動かないと入手できなくなる」と考えるようになる
「バンドワゴン効果(大勢順応行動)」が働く、と橋元教授は説く。
ちなみに、橋元教授はこうした議題設定効果などを引き起こす最も強いメディアとしてテレビを挙げている。
今回、分析で使ったWeb記事もテレビ系サイトの物が少なくなく、
またテレビの放送内容を「そのまま引き写す」記事スタイルのメディアも多いことから、
テレビ報道の傾向もかなり反映しているとみられる。
橋元教授は「結局、事態を鎮静化するのに最も効果的なことはマスメディアが報道を自粛すること」と説く。
https://toyokeizai.net/mwimgs/2/2/-/img_22bf00d8d1a5392e6a9b1d4889d769f2743506.jpg
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200316-00000018-zdn_mkt-bus_all
Twitter上での「次はトイレットペーパーとティッシュペーパーが品薄に」「製造元が中国だから」などといった、
2月末頃に出た無根拠なデマツイートがその一端とされている。
ただ、買い占め騒動は「SNSや口コミのデマ」だけが原因ではないようだ。
例えば、買いだめを行った人へのアンケート調査では、大半が「デマだと分かっていて買い占めに走った」という結果が出ている。
■トイレットペーパーは「特別扱い」
新型コロナと関係が薄いにもかかわらず、同様にデマのせいで買い占めが起きているとされる「おむつ」や「生理用品」については、
トイレットペーパーのような急激な報道量の伸びを見せていない。
メディアが、「デマで騒動になっている」としてトイレットペーパーを特に「特別扱い」で報じている様が浮き彫りになった。
こうしたWeb記事の報道のほとんどはデマをうのみにしているわけではなく、買い占めの異常さを強調したり、
虚偽情報を打ち消そうといった内容が多いとみられる。
ただ、図らずもそうした報道が読者のトイレットペーパーへの注目をマッチポンプ的に喚起してしまった可能性がある。
こうしたメディア報道が、買い占めのような異常行動につながっていくメカニズムは何なのか。
情報行動やメディア効果などを研究する東京大学大学院情報学環・学際情報学府の橋元良明教授(社会心理学)は、
「多くの人は現状では『デマ』に惑わされて惑乱(的な)行動に走っているのではない」と分析する。
「人は自分や家族の安全確保、生命維持が非常に大切であり、そのためには実際に身の回りで(トイレットペーパーなどを)
入手できなくなる恐れがあれば、早めに確保するのが合理的行動」(橋元教授)。
「(買い占めを)静観していても、(その結果)被害を受けるのは最終的に必要な物を手に入れられなかった自分だ」と考えることで
デマを頭から信じずとも買い占め行動に走ってしまっている可能性がある、という。
■「鎮静化には報道自粛が効果的」
そして、橋元教授は「(こうした消費者行動を)煽っている1つの責任はマスメディアにある」と指摘する。
繰り返しトイレットペーパーなどの一部での品不足をマスメディアが頻繁に報じると、
読者・視聴者は「これが世間の人々の現在の非常に大きな関心事だ」と判断する。
これは社会心理学で「議題設定効果」という説に当たる。
結果として消費者の思考回路が「トイレットペーパー購入」中心になる、という。
さらに、空になった棚や行列が報じられると「自分も動かないと入手できなくなる」と考えるようになる
「バンドワゴン効果(大勢順応行動)」が働く、と橋元教授は説く。
ちなみに、橋元教授はこうした議題設定効果などを引き起こす最も強いメディアとしてテレビを挙げている。
今回、分析で使ったWeb記事もテレビ系サイトの物が少なくなく、
またテレビの放送内容を「そのまま引き写す」記事スタイルのメディアも多いことから、
テレビ報道の傾向もかなり反映しているとみられる。
橋元教授は「結局、事態を鎮静化するのに最も効果的なことはマスメディアが報道を自粛すること」と説く。
https://toyokeizai.net/mwimgs/2/2/-/img_22bf00d8d1a5392e6a9b1d4889d769f2743506.jpg
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200316-00000018-zdn_mkt-bus_all