https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210718/k10013145161000.html

太陽光発電の急速な普及が進む中、ここ数年、斜面に設置された施設で土砂災害が相次いでいます。専門家のデータをもとに全国の中規模以上の太陽光発電施設の立地を分析したところ、災害リスクのある「土砂災害危険箇所」と一部でも重なっていた施設は全国で1100か所余りにのぼることがわかりました。専門家は「災害の危険性を評価する仕組みやリスクのある場所での設置を抑制する必要がある」と指摘しています。

斜面に設置された太陽光発電施設ではここ数年、土砂災害が相次いでいて、経済産業省によりますと、3年前の西日本豪雨で合わせて11件確認され、神戸市では一時、山陽新幹線が止まるなどの影響が出ました。

NHKは国立環境研究所が航空写真などから割り出した、発電出力500キロワット以上の中規模施設の位置データと土砂災害リスクの地図データとを重ね合わせて分析しました。

その結果、対象となった9809か所のうち、土砂災害が起きて住宅や公共施設などに被害を与えるおそれのある「土砂災害危険箇所」と一部でも重なっていたのは全体の1割を超える、少なくとも1186か所にのぼることがわかりました。

種類別にみますと
▽「土石流危険渓流」に724か所
▽「急傾斜地崩壊危険箇所」に463か所
▽「地すべり危険箇所」に77か所となっています。
(重複あり)

また、避難などの対策が必要な「土砂災害警戒区域」と一部でも重なっていた施設も843か所あり、このうち249か所は特に危険性の高い「土砂災害特別警戒区域」と重なっていました。

国の法律では一部の例外を除き災害リスクのある場所での設置を規制する法律はなく、実質的な規制は自治体に委ねられているのが現状です。

「地方自治研究機構」によりますと、設置の規制に関する条例を制定する自治体が増えていて、ことし7月時点で4つの県と148市町村にのぼっています。