【ワシントン=山本秀也】

 北朝鮮が5日強行した弾道ミサイルの発射は、6日に迫った米中首脳会談に衝撃を与えた。
限定的な軍事手段も視野に「単独解決」に傾く米国と、中国のメンツを省みない北朝鮮の強硬姿勢の間で
習近平国家主席は窮地に立たされ会談に臨む。

 消息筋によると、北朝鮮の不穏な動向は米中ともに察知しており、これが首脳会談の早期実現につながった。
北朝鮮では核実験施設周辺でも活発な動きが伝えられ、両首脳の初会談を迎える空気は緊迫している。

 会談を前に、中国の対米安保専門家の間では、米国の「外科手術」との言葉が頻繁(ひんぱん)に交わされ始めた。
中朝国境付近に多い北朝鮮の核・ミサイル関連施設に対して、米軍が精密誘導兵器によるピンポイント爆撃を加える
可能性が「現実味を帯びた」との認識だ。

 中国は「朝鮮半島の非核化」を掲げつつも、緩衝地帯として北朝鮮を存続させる必要から、労働党政権を
追い詰めてこなかった。

 米中間では、2013年6月に行われた習氏とオバマ前大統領の初会談でも北の核開発阻止を
「米中の共通目標」と表明していた。4年後の現実が習氏の眼前に突きつけられている。

  ところが、王毅・中国外相は、北の大量破壊兵器開発と米韓軍事演習を同列において「同時停止」を
提案するなど、なおも“内科治療”での対話解決をめざしている。

 中国側は「核問題の主要当事者は米朝だ」(王氏)という逃げ腰で首脳会談に臨もうとしたが
逆に米朝の強硬姿勢の板挟みで会談を迎える事態となった。

 だが、会談直前を狙ったミサイル発射で、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の
韓国配備をめぐる中国の反発は、さらに説得力を失った形だ。

 産経新聞
 http://www.sankei.com/world/news/170405/wor1704050069-n1.html