■世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

(伊勢物語 在原業平)

世の中に桜と云うものがなかったなら、春になっても、咲くのを待ちどおしがったり、散るのを惜しんだりすることもなく、のんびりした気持ちでいられるだろうに。

これには有名な反歌があり
「散ればこそ いとど桜はめでたけれ 憂き世になにか久しかるべき」
(桜は惜しまれて散るからこそ素晴らしいのだ。世に永遠なるものは何もない)
というもの。