【イスタンブール=佐野彰洋】トルコのエルドアン政権は17日の閣議で、昨年7月のクーデター未遂事件後に発令した非常事態宣言の延長を決めた。
延長は3回目で、期間は19日からの3カ月間。国会の承認が必要だが、与党が単独過半数を確保しており、承認は確実な情勢だ。
反政府とみる公務員らの追放や企業の接収など反対派への圧力をさらに強める構えだ。

16日の国民投票では、大統領に権限を集中させる憲法改正への賛成が反対を上回った。両者の差は小さく、野党からは不正投票との批判もある。
非常事態の延長と国民投票の関係は不明だが、同政権が強権姿勢を強めるのは確実とみられる。

非常事態宣言は昨年10月と今年1月の2回にわたって延長された。非常事態宣言下で、多くの反体制派国民が逮捕されている。
今回の延長はクーデター未遂から1年を迎える7月中旬まで。政府が国民の権利制限を行ったり、内閣が法律と同等の効力を持つ政令を発布できたりする状況が続くことになる。

賛否が拮抗した国民投票で示された社会の分断の修復は急務だ。非常事態宣言の延長は反体制派の反発を招き、混乱に拍車をかける可能性がある。

配信 2017/4/18 9:51

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