残業代の支払いを求める訴訟を起こすよう依頼したのに弁護士が1年半にわたって放置し、一部が時効になったとして、60代の夫婦が大阪弁護士会の男性弁護士に約800万円の賠償を求めた訴訟が大阪地裁であり、弁護士が300万円を支払うことで和解していたことが19日、分かった。弁護士は不適切な処理をしたことを認め、夫婦に謝罪した。

 和解は14日付。訴訟記録によると、夫婦は2011年5月から約1年間、関西電力の保養所(神戸市)で支配人として住み込みで働いた。関電の委託業者は残業代を支払わないまま、保養所の閉鎖に伴って雇用契約を中途解約した。

 夫婦は12年7月、業者との交渉を弁護士に依頼。中途解約に伴う補償交渉を優先し、残業代については後で提訴する予定だった。しかし補償交渉がまとまり、夫婦が弁護士に報酬を支払うと、連絡がつかなくなった。

 事務所を通じて催促すると、弁護士は「裁判用の資料を持ち帰り、紛失してしまった」と告白。結局、残業代の請求訴訟を提訴したのは依頼から1年半後の14年1月で、既に一部が時効(2年間)に。残業代735万円のうち300万円しか得られなかったという。

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