地政学とは周知の通り、政治的に対立する地理的な近接国家間に適用される。
地経学とは、ある一国が経済的・軍事的な発展をして、周辺国に危機を及ぼしかねない場合、周辺国は経済同盟を結んで対抗するものだ。
TPPは、この目的を果たすものと位置づけられる。TPP加盟国は、中国の経済的な発展にブレーキをかけて、周辺国の安全保障を確かなものにする政策なのだ。
これが「地経学」である。「地政学」という地理上の弱点を経済連携でカバーする戦略である。

この戦略の主唱者は、エドワード・ルトワック(米国の戦略国際経済問題研究所上級アドバイザー)である。
TPP加盟国は中国を除外して経済発展を計り、中国の経済=軍事リスクを減らすという「高等戦術」である。
まさに、戦わずして相手国の経済力・軍事力を低下させる戦略である。この目的からいえば、中国をTPPに加入させては意味ないのだ。
もっとも、中国をTPPに入れれば、振る舞いも改まるであろう。
こういう「善意」の意見もある。だが、相手は「中華帝国」復活を夢見ている戦闘集団である。説いて分かる相手ではない。