日本郵政、「負の遺産」清算急ぐ 株追加売却に影響恐れ


 日本郵政が直面した巨額の減損処理は、平成27年11月の上場以降、厳しい経営環境が続く同社にとって大きな打撃だ。
日銀のマイナス金利政策により、ゆうちょ銀行などグループ各社も厳しい経営が続く。
政府が準備中の日本郵政株の追加売却にも影響する恐れがある。

 オーストラリアの物流最大手のトール・ホールディングスの買収は、27年当時、日本郵政社長だった西室泰三氏が主導した。
約6200億円の巨額買収に、当初から「高値づかみ」と懸念する声が根強く、社内からは西室氏の“負の遺産”との見方も出ていた。

 減損損失を計上しても、現金が企業から流出するわけではない。ただ、最終損益の押し下げ要因となり、自己資本比率の低下など財務体質悪化につながる恐れがある。
日本郵政の場合、政府の郵政株の追加売却にも影響が出かねない。

 ただ、与党関係者からは「どれだけ早く膿(うみ)を出すかの問題だった。金融庁や官邸も静観しており、正解だと思う」と評価する声もある。
経営再建中の東芝の場合、米原発子会社の実態を把握できない経営判断の遅れが、巨額損失につながり、深刻な経営危機に陥った。

 将来の政府保有株の放出を考えれば、一時的に業績悪化を招いても、負の遺産の“清算”は不可欠。「先を見ればいい判断だ」(関係者)との評価を得るためにも、グループ事業を含めた成長戦略が必要だ。
http://www.sankei.com/economy/news/170421/ecn1704210009-n1.html