世界で最も体重が重い女性といわれたエジプト出身のエマン・アフメド・アブド・エル・アティさんが、手術によって半分の体重になったという。アブド・エル・アティさんを治療したインド・ムンバイの病院が19日に明らかにした。

手術前のアブド・エル・アティさんは家族によると体重500キロで、25年間にわたり家から出られなかったという。

アブド・エル・アティさんは今年2月にムンバイのサイフィー病院に入院し、ムファザル・ラクダワラ医師率いる手術チームによって3月初めに、胃の一部を切除する減量手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)を受けた。

病院によると、アブド・エル・アティさんは手術前はほとんど寝たきりだったが、手術後は車椅子に座ることができるようになり、前より長く起き上がっていられるようになった。病院は、上半身を起こして微笑むアブド・エル・アティさんの写真やビデオを公表した。

ラクダワラ医師は、アブド・エル・アティさんの減量は「急速に」進んでいるが、子供の頃の脳梗塞の後遺症で半身が麻痺し、けいれんが頻繁に起きるのは変わらないと説明している。話をしたり飲み込む動作にも、引き続き困難が伴うという。

病院は、CTスキャンの装置に入れるまでアブド・エル・アティさんの減量が進むのを待ち、脳梗塞の原因を調べる方針という。

ラクダワラ医師はさらに、半年後には肥満治療の新薬の治験にアブド・エル・アティさんに参加してもらう予定だと説明した。サイフィー病院は現在、米製薬会社が開発中の新薬を使いたいと希望している。

家族によると、アブド・エル・アティさんは生まれた時の体重が5キロで、象皮症だと診断された。象皮症は、寄生虫感染が原因で四肢など体の一部が肥大する病気。

11歳の時に体重が激増して立ち上がれなくなり、脳梗塞を発症して以来は寝たきりで家を出られなくなったという。これまでは母親や姉妹がアブド・エル・アティさんの面倒を見てきた。

体重が半減したことによって、アブド・エル・アティさんは世界で最も重い女性ではなくなった可能性がある。現在のギネス世界記録保持者は、2012年7月に体重293.6キロだった米国のポーリーン・ポッターさん。

ラクダワラ医師とサイフィー病院は、アブド・エル・アティさんをエジプトからムンバイに移動させ治療するための資金を募金で募っていた。

減量手術は皮下脂肪が過剰で、生命に危険を及ぼすほど肥満している人(肥満度を示すBMI指数が40以上など)のための、最後の治療手段として使われる。

ソース/BBC
http://www.bbc.com/japanese/39663870

ビフォー
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アフター
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