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[20日 ロイター] - 昨年の米大統領選ほどではないものの、23日に最初の投票が行われるフランス大統領選においても、ソーシャルメディアに出回る大量の「偽ニュース」に有権者がさらされていることが明らかになった。

ロイターが入手した英オックスフォード大学の調査によると、ツイッター上でシェアされた政治関連リンクの4分の1は偽情報で占められていることがあったという。同調査は21日に発表される予定。

こうした調査は、ロシアが米大統領選に対して仕掛けたサイバー攻撃を、欧州でも再現しようとしているとの米独仏当局者の主張に対する新たな論拠となっている。

「米国で多くの有権者がシェアしていたよりも質の良い情報を、フランスの有権者はシェアしている。それはドイツの有権者が共有しているニュースや情報の質とほぼ変わらない」と、オックスフォード大学インターネット研究所の調査は指摘している。

今回の調査ではツイッター上の過去1週間分のデータを使用しているが、偽情報の拡散についてはフェイスブックの方が大きな役割を担っていると、仏大統領選でのソーシャルメディア上の不正行為を研究しているパリ第8大学のケバン・リモニエ氏は指摘する。

フェイスブックは最近、フランス国内で自動投稿されているとみられるアカウント3万件を停止した。同社はスパム対策としているが、それら多くのプロフィールは政治的動機に基づいた偽情報やプロパガンダを流布していた。

自動投稿が可能なツイッター上では、昨年の米大統領選でドナルド・トランプ候補を応援していたのと同じアカウントの多くが、陰謀説や極右政党の見方を推進する方へとその重心を移している。リモニエ氏と、米連邦捜査局(FBI)の元捜査官で現在はジョージ・ワシントン大学のシニアフェローを務めるクリントン・ワッツ氏はそう指摘する。

<ロシアはドイツにシフト>

「『ボット』と呼ばれる自動投稿システムによる、ロシアからのアカウントとみられるトランプ支援グループは、すでにドイツに移っている」とワッツ氏は語る。「トランプ支持者アカウントの約3分の1は、今度はドイツ総選挙に影響を与えようとしているようだ」

今週発表された別の民間調査でも、ソーシャルメディアにおける偽ニュースと本物のニュースの割合は、今回のオックスフォード大学による調査結果と同程度の割合だった。そうした偽ニュースの大半は「ロシアの影響を受けた」ソースから来ていると、同調査は指摘している。

オックスフォードの研究者らによると、昨年11月の米大統領選投票日を控えた数日間のソーシャルメディア上のトラフィックを調査した結果、ミシガン州の有権者は、同程度の偽ニュースと正しいニュースを互いにシェアしていた。

一方、それほど対立的ではなかった今年2月のドイツ大統領選における直前調査では、偽ニュースと本物のニュースの割合は1対4だったという。

「概して、米国の有権者は、国政選挙前の肝心な時期に、主要政策の公開討議について非常に質の悪いニュースや情報をシェアしていた」と、オックスフォード大学インターネット研究所のフィリップ・ハワード所長は語った。「ドイツとフランスの有権者はいずれも、シェアしたジャンクニュースの量はそれよりずっと少ない」

(Mark Hosenball記者、Joseph Menn記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

2017年 4月 21日 2:56 PM JST