3月1日から会社説明会、6月1日から面接などの選考活動を解禁とする経団連の「就職・採用活動の指針」にもかかわらず、
平成30年春入社組の内定(内々定)率が前年より急上昇している。
人手不足の中、優秀な人材を確保しようと、企業は内定を前倒しして囲い込みを進めている。

4月初め、東京都中央区の貸し会議施設で、生活関連品メーカーが採用選考面接を開催した。
参加した学生は「3月に説明会とエントリーシートの提出締め切りがあり、今回の面接に呼び出された。早く内定がほしい」と話した。
この会社は経団連に加盟しているが、担当者は「理系を中心に早く動かざるを得ない」と本音を漏らす。

今年の就活が指針より早まっているのは、就職情報各社のアンケートでも明確だ。
リクルートキャリアの調査では今月1日時点での学生の内定率は14・8%と前年同日比5・1ポイント増えた。特に理系は15・7%と高い。

マイナビが6日に発表した調査では、企業が内定出しを始めるピークは6月と前年同様だが、2〜5月に開始する企業は前年を上回った。
経団連の榊原定征会長は「指針(の対象)は経団連会員企業だけとの理解もあるが、政府も450の経済団体・業界団体に対し、指針を順守するよう要請している」と強調する。

だが、企業の中には指針を守っていては採用者数を確保できないとの危機感は強い。背景にあるのは学生優位の「売り手市場」だ。
リクルートワークス研究所によれば、30年春入社の求人倍率は1・74倍で、前年の1・73倍を上回る高水準だ。そのため、採用担当者の焦りは大きくなっており、採用活動を前倒しさせているのが実情だ。(平尾孝)

配信 4/22(土) 7:55配信

産経新聞 
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