【ロサンゼルス長野宏美】死刑に使う薬物の使用期限が迫っているため、今月17日から11日間で8人の死刑執行を計画していた米南部アーカンソー州で20日深夜、1人目の死刑が執行された。集中的な「駆け込み執行」は前代未聞との批判があり、俳優のジョニー・デップさんらが現地で抗議運動に参加した。

 死刑が執行されたのは1993年に女性を殺害した罪で死刑判決を受けた黒人のレデル・リー死刑囚(51)。

 米国では主に薬物による死刑執行が行われてきたが、製薬会社が販売を拒否するなど、執行用薬物の入手が難しくなっている。アーカンソー州では執行に使われる3種類の薬物の一つである鎮静剤「ミタゾラム」の使用期限が今月末に切れることから、17〜27日に8人の死刑を執行すると発表していた。

 死刑囚らが執行停止を求めて訴訟を起こし、再審理の必要性などで8人のうち4人に対する執行は直前で差し止められたが、連邦最高裁は20日、リー死刑囚について執行を認めた。州司法長官は執行後、「遺族は正義を待ち望んでいた」との声明を発表。来週、さらに3人に対する執行が予定され、弁護人が差し止めを求めている。

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