元自衛官という異色の経歴を持つ弁護士Aさんの話、その2。

以前、話題に取り上げた元自衛官の弁護士Aさんの話には、まだ続きがあった。
実は、Aさん、ここ数年、複数の右派政党から国政への進出を勧められているというのだ。
Aさんは言う。
「私は、国政に全く関心が無いという訳ではありませんが、一般庶民の身近な法律問題への支援を行う
弁護士という仕事の方が、今の私にとっては優先順位が高いのです。各政党の皆さん方には丁重にお断りしています。」。
しかし、そう言いながらも、Aさんには一人の法律家として今の国政に言いたい事はあるようです。
「今の政権与党のやり方は非常に巧みだと感じます。選挙時には景気回復を前面に打ち出して票を獲得し、
選挙に勝って議席を確保したら、いつの間にか選挙ではほとんど触れなかった法律案をどんどん国会で可決させている。
ある意味、有権者である国民を騙す卑怯なやり方にも感じます。」。
Aさんに今後の自衛隊のあり方などについて聞いてみた。
「法律上は、憲法上の制約もあり、自衛隊はいわゆる軍隊ではありません。
あくまでも強い実力を備えた警察組織の延長線上にあるような組織です。
しかし、私は現行憲法を改正して自衛隊を国防軍にすべきだとは思いませんし、
むしろ、現在のある意味中途半端な状態の方が戦後の日本の国柄に合っている様な気さえしています。
先の大戦で負けてから日本は骨抜きにされたとか、現行憲法はアメリカの押し付けだから改正すべきだとかの
声をたまに耳にしますが、現行憲法自体は大変良く出来た憲法で、その掲げる理想は、崇高なものです。
現実がどうのこうのと言っても、現行憲法でもちゃんとやって行けるのだから、理想を捨てる必要性は無いのと思うのです。
ましてや、アメリカに押し付けられたものだからという理由で半ば無理やりに改正するというのは、間違っていると思います。
現行憲法の成立の過程がどうであれ、正式な手続きを経て成立したものですし、現行憲法自体は非常に優れたものです。
つまり、良いものは良いのです。今後、改正する必要性が真に生じた時に初めて改正を検討すれば良いだけの事です。
私は、自衛隊は現行憲法の範囲内でやれる事をやれば、それで良いと思っています。
自衛隊は、国際法上は、一般的には軍隊と看做されます。だからといって自衛隊を国防軍に変えるのではなく、むしろ、
なるべく、できれば全く自衛隊を海外に出さないようにした方が良いと思います。専守防衛に徹し、他国の紛争には関わらない。
殆どの自衛隊員も、日本で暮らす日本国民を守るためなら身の危険も厭わないでしょうが、海外にまで出て行って
危険を冒すのは本望では無いでしょう。同じ様に殆どの日本国民も自衛隊員が海外で犠牲になる姿など見たくないと考えていると思います。
日本には、核兵器も必要ありませんし、攻撃型空母や原子力潜水艦も必要ありません。そもそも、それだけの装備を整える為の
財政的な余裕は、これから本格的な少子高齢化を迎える日本国にはありません。
せいぜい、策源地攻撃能力を持つべきかどうか、F2支援戦闘機に対地ミサイルを搭載させるべきかどうかというレベルだと思います。」
どうやら、Aさんは元自衛官でありながら、左派か中道左派のようなお考えをお持ちのようです。
その一方で、弁護士らしい考え方にも思えます。