過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
アルコール又は薬物の影響で、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」であることを
認識しながら自動車を運転し、自動車事故を起こした場合に、事故後、アルコールまたは薬物の
影響や程度が発覚するのを免れるために、さらに飲酒したり、薬物を摂取したりするか、あるいは、
逃げてアルコールや薬物の濃度を減少させたりして、それらの影響の有無や程度の発覚を
免れるような行為をした場合である。

これは、いわゆる「逃げ得」問題を撲滅しよう、というために規定されたものである。

逃げ得とは、どのような問題かというと、たとえば、酒で泥酔状態になって人身事故を起こした
場合には、危険運転致死傷罪が適用されますが、ひき逃げしてしまい、翌日逮捕されたとしても、
その時には体内のアルコール濃度は減少しているため、危険運転致死傷罪が適用できず、
過失運転致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ)しか適用されず、刑が軽くなってしまう、という問題である。

この犯罪類型を新設したことにより、その場から逃げた場合にはこの罪による最高刑12年にひき逃げの
最高刑10年が併合され、最高18年の懲役刑を科すことが可能になる。なお、この罪の法定刑は、12年
以下の懲役である。