元自衛官という異色の経歴を持つ弁護士Aさんの話。

Aさんは東京大学法学部在学中に司法試験に合格。
普通なら、卒業後は、司法修習を経て、裁判官や検察官、弁護士などへの道に進むのが一般的だ。
しかし、Aさんは違った。
なんと、在学中に司法試験に合格した優秀さにも拘らず、陸上自衛隊幹部候補生学校への入学を志望したのだった。
優秀なAさんの事、頭脳だけでなく運動能力や体格にも恵まれていた為、難無く合格し、晴れて自衛官の道を歩み始めたのだった。
この針路変更についてAさんに聞いてみると、
「生意気かもしれませんが、当時、司法試験に合格した段階で、ある程度、法律学を究めたという満足感がありました。
その満足感が、新しい事にチャレンジしたいという原動力になったのだと思います。」との事。
やはり、エリートは、我々凡人とは違うと痛感させられるコメントである。
ところがである。
Aさんは、その後順調に昇進し一等陸佐として連隊の指揮を任されるまでになっていたのに、
なんと、自らの意思で退官してしまったのだ。
一体、Aさんに何があったのだろう。
この事についてAさんは、
「当時は、40代も半ばになり、自分の半生を振り返るようになりました。
自衛官の道を選択した事には後悔はありませんでしたし、いい人生経験にもなったと思いました。
そのまま行けば将官への道も望めたのかも知れません。
しかし、私の悪いクセなのか、自衛官としてある程度究めたという満足感が私の心の中に生じてしまったのです。」
と語る。
退官後、Aさんは司法修習を無事に修了し弁護士登録したのだった。
現在は都内に自らが代表を務める法律事務所を構え、様々な法律相談や事件の処理に追われる毎日を過ごしている。
現役自衛官や元自衛官からの相談や依頼も多いという。
最後に、Aさんはこう語る。
「以前は銃など防衛装備品を武器として国家の防衛を担っていたという自負がありましたが、
今は、法律を武器として一般市民の人権を守るという責任感が私の弁護士活動の原動力です。」。
Aさんの挑戦の日々は続く。