神戸新聞 2017/5/14 06:40

阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区の復興再開発ビル「アスタくにづか3番館」に市が誘致し、アニメ関連店が入る商業施設「神戸アニメストリート」が6月末にも閉鎖されることが13日、関係者への取材で分かった。
同施設を巡っては客足が伸び悩み、メーカーから販売を依頼された運営会社が商品の売上金などを払っていないケースが続出。
「アニメで長田を盛り上げたい」として市が約6700万円を投じて開業を支援したが、オープンから2年余りで幕を閉じることになる。(若林幹夫、杉山雅崇)

施設は2015年3月、震災後ににぎわいを取り戻せない新長田駅南地区の活性化を目指し、空き区画を活用してオープン。
運営は同名の会社「神戸アニメストリート」で、フィギュア(人物模型)の展示販売や動画の撮影、配信ができるスタジオ、カフェなどが入る。
当初は話題を集め、イベント開催時には大勢が詰め掛けたが、平日は客の姿もまばらで、売り上げも低調だったという。

さらに神戸新聞社の取材に対し、商品販売を依頼した東京都中野区のグッズ企画制作会社が、売上金など約200万円の支払いが遅れていたと主張。淡路市内の別の会社も約200万円の未払いを訴えている。

運営会社の岸建介社長(42)は、主張する金額には差があるものの複数の未払いがあることは認め、
「客が集まってもなかなかお金が落とせる場所にはならず、資金繰りは当初から厳しかった。スタッフや客にも迷惑をかけ、今後運営を続けていくのは難しいと考えている」と釈明した。
関係者によると、同社と、市の所有区画を一括で借り上げて転貸しているビル管理会社は、6月末に閉鎖する方向で賃貸契約の解約協議を進めているという。

開業支援の事業を所管する市市街地整備課の担当者は、相次ぐ売上金の未払いについて「民間事業者同士の問題。市からはコメントできない」としていた。

【神戸アニメストリート】
震災復興再開発事業の新長田駅南地区(神戸市長田区)を対象とした再生プロジェクトの一環。アニメに特化したまちづくりを進めるため、市が別の事業者に出店者誘致や内装工事を約6千万円で委託。
オープン1年目は出店した同名の運営会社に家賃、管理費の補助として約700万円を支出した。
2016年には、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などを手掛けた制作会社「ガイナックス」(東京)関連の新会社「ガイナックス・ウエスト」が拠点を置き、神戸・長田発のアニメ作品発信に期待が集まっていた。

閉鎖することになった「神戸アニメストリート」=13日午後、神戸市長田区久保町5(撮影・大森 武)
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