鳥取大動物医療センターは来春から、鳥取市の吉岡温泉で、源泉を犬の外科手術後のリハビリや皮膚病などへの治療に活用する<臨床試験>を始める。同センターによると、ペットが入れる温泉は各地にあるが、効能を医学的に裏付けようという研究はないという。

 吉岡温泉は平安時代の開湯と伝わり、江戸時代の文献には藩主・池田氏も頻繁に湯治に訪れたとの記述も残る。泉質は弱アルカリ性で、筋肉痛や神経痛、乾燥肌などの改善に効き目があるとされる。

 犬でも同様の効果が見込めるのではと、同センターの岡本芳晴教授(57)(獣医学)が吉岡温泉町自治会に研究協力を打診。今月中に建設を始める日帰り客向け入浴施設内に、大型犬用(縦1・5メートル、横1・8メートル、深さ70センチ)と小型犬用(縦1メートル、横1・3メートル、深さ35センチ)の浴槽を設ける。

 臨床試験は来年4月開始予定で、骨折して手術を受けたり、皮膚が荒れたりして同センターが治療している犬に機器をつけて入浴させ、心拍数や体温、呼吸数などを測定。症状の改善が見られるかどうかや、治療に適した温度、入浴時間などを調べる。効果が立証できれば、民間の動物病院からも受け入れるという。

 岡本教授は「ペットの健康や長寿は飼い主の願い。安心して利用できる温泉療法サービスを産学連携で生み出せれば」。同自治会の男性(65)は「昔から湯治場として知られる吉岡温泉の新たな魅力にしたい」と話している。(中田敦之)

2017/5/18 7:29 読売新聞
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