このまま行く気か。「共謀罪」が本性を暴かれることなく可決へ
2017.05.19 315
by 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』
 
一般市民に関係ないという共謀罪法案のウソに騙されるな
 
法案の正体がバレないうちに通してしまえというわけか。
安倍自民党政権は、連立外に控える補完勢力、日本維新の会を抱き込んで共謀罪法案の修正案をでっち上げ、
5月19日にも衆院法務委員会で可決するかまえだ。

自公両党と日本維新の会が合意した修正案は、取り調べの可視化(録音・録画)を検討することを、
法案の付則に盛り込むというのが主要な中身である。

取り調べの可視化は昨年、刑事訴訟法が改正され、裁判員制度対象事件や検察官独自捜査事件に採用されることになっている。

そこに共謀罪の事件も可視化の対象として加えることを「検討する」というのだ。
「検討」では付け焼刃にもならないのではないか。

可視化の効果そのものに疑問がもたれているのだ。「任意の取り調べ」は録音・録画されない。
実際には「任意」や「別件」で聴取され、虚偽自白に追い込まれる例が多い。自白した後、
決められたシナリオ通りの供述を録画するというのでは、可視化本来の目的にはほど遠い。

法制審議会委員として、「全事件、全過程での取調べの録音・録画」をめざした映画監督、周防正行氏が
5月12日の報道ステーションで、可視化を盛り込む三党合意を「何の意味もない」と批判したのは当然のことだ。
維新の賛成を得て、強行採決と批判されないようにしたい政権側の魂胆が丸わかりである。

それでも、数の力で押し切られたら、秘密保護法や安保法制と同じ結果となり、
平和と人権を謳った憲法を空文化する悪法三点セットがそろってしまう。

ここは、ぜがひでも、国会やメディアの力で、世論を喚起しなければならない。
東京五輪、テロ防止をキーワードに、共謀罪の危険性を包み隠そうとする政府のウソを徹底的に暴く必要がある。