http://www.bbc.com/japanese/39972594

英王立公衆衛生協会(RSPH)は18日、ソーシャルメディア(SNS)が若者の心の健康に与える影響について、報告書を発表した。その結果、YouTube、インスタグラム、スナップチャット、フェイスブック、ツイッターを比較した際、インスタグラムが最も悪い影響を与えることが分かったという。

RSPHは14歳から24歳の1479人を対象に、人気の高いSNS5社の影響を調査。それぞれのSNSで経験する不安感や鬱(うつ)、孤独感、いじめ、自分の外見への劣等感など14項目について質問した結果、写真投稿サイトのインスタグラムが若者の心に与える不安感や孤独感、いじめ、外見への劣等感など否定的な影響が、他のSNSよりも高かったという。

5社のSNSのうち、インスタグラムに次いでマイナス要因が高かったのがスナップチャットで、フェイスブック、ツイッターの順にマイナス要因は減り、YouTubeは不眠がマイナス要因として強かったものの、逆に自己表現やコミュニティーづくり、孤独感の解消などプラスの要因が強かったという。

RSPHはSNS各社に対して、自分が使いすぎているか利用者が一目で分かるよう警告を表示したり、投稿内容から精神衛生上の問題が懸念される利用者に支援を「周囲からは分からないように」提供したりするべきだと呼びかけている。またファッションブランドや広告会社や有名人は、加工された画像を投稿する際には、加工画像だと示す小さいアイコンを表示できるようにすべきだと提言している。

SNS使いすぎの警告表示については、調査した若者の7割がこの案を支持しているという。

精神衛生のため活動する慈善団体は、SNS各社に、利用者の安全を守るため対策の向上を求めた。

「劣等感や不安感」

RSPH報告は、SNSがたばこやアルコールよりも依存度が高い可能性があり、過去25年間で心の健康を患う若者が7割増えていると指摘。10人に7人がネットいじめを経験したと話しており、若者の心の健康問題を「SNSが悪化させているかもしれない」と懸念を示す。

またSNS利用は、不安感や鬱、不眠の悪化につながっているようだと指摘している。

その一方で、SNSは若者に良い影響をもたらす道具にもなりえるので、各社は自分たちが提供するサービスをできるだけ安全な場所にするよう最善を尽くすべきだと報告書は主張している。

報告によると、16歳〜24歳の若者の91%が交流の道具としてSNSを利用し、その割合は他のどの年齢層よりも多い。それだけに、特にSNSの影響を受けやすい年齢層だと言える。ただし、具体的にどのような影響なのかは、現時点の証拠からは明確になっていない。

RSPHのシャーリー・クレーマー最高責任者は、「インスタグラムとスナップチャットが、心の健康にとって最も良くないという結果は興味深い。どちらのSNSも画像重視で、それが若い人の劣等感や不安感を高めている可能性がある」とコメントしている。

報告書はさらに、英国民保健サービス(NHS)イングランドに対して、SNSに登場する健康情報について内容を精査する仕組みを作るよう提言。SNSに出回る情報が信頼できるものかどうかを、若者がより正しく判断できるようにするのが狙いだ。

クレーマー氏は、「SNSの利用しすぎは健康を損なうかもしれないという証拠が増えている。社会における心の健康の重要性も高まっている。それだけにSNSが若い人の心の健康にとって西部劇のような『無法状態』でなくなるよう、チェック体制を整えるのが重要だ」とつけ食えわえた。

若者の精神衛生を支える慈善団体「ヤング・マインズ」のトム・マダース氏は、RSPHの提言が多くの若者の役に立つはずだと言う。

「SNSの中での安全性強化は大事な一方だ。インスタグラムなどその他のサイトには、対策をとるようお願いしたい」
その上でマダース氏は、「ただし、特定の種類のコンテンツから若者をただ『保護する』だけでは、完全な解決にならないと認識するのも大事だ」と指摘し、若者自身も自分たちのオンライン行動のリスクを理解し、「フィルターをすり抜けてしまう害のあるコンテンツ」にどう対応するかを教わる必要があると述べた。

BBCはインスタグラムにコメントを求めたが、回答を得られなかった。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 Instagram 'worst for young mental health')

2017/05/19