静岡県島田市で町おこしのために毎年開かれている「愛するあなたへの悪口コンテスト」。2004年の開始前は、悪口を町おこしに活用することへの「悪評」も目立ったが、今やユニークなコンテストとしてすっかり定着した。応募作品数は累計5万点を超え、県外からの応募も8割超に達するなど広がりを見せている。

 コンテストは、市などによる実行委員会が主催し、13回目となる今年の大賞には千葉県印西市の山田明さんの作品が選ばれた。

 《不機嫌な 妻にまな板悲鳴あげ》

 審査委員長で直木賞作家の村松友視さんは「妻の不機嫌によってたたかれつづけるまな板に作者自身をかさねた、まさに“悲鳴”の伝わってくる作品で、その高い完成度に感服させられた」と評した。

 募集するのは、悪口といっても、「愛」があるからこその悪口。今回は9〜92歳の3666作品が集まった。うち85%が北海道から沖縄まで県外からの応募。これまでの応募総数は5万8422点に上る。

 13年前にコンテストを仕掛けたのは島田市の第三セクター「まちづくり島田」だった。愛を包んだ悪口を通じて腹を割って話すことで、仲が深まるとの思いを「愛するあなたへの悪口」に込めた。

 「悪口を町おこしに使うなんて」「島田のイメージが悪くなる」……。まちづくり島田の原木秀明参事によると、当初はそんな反発が地元から多かった。

 協賛企業がなかなか集まらず、…

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2017年5月22日0時21分 朝日新聞
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