全国の都道府県で家畜防疫などを担う公務員獣医師の採用難が続いている状況を受け、青森県が獣医師確保に向けた取り組みに本腰を入れている。
受験者を増やすことを狙い、給与の上乗せで待遇を改善するほか、受験会場を増やしている。これらの効果もあって受験者は増えているものの、他の自治体との競争で合格者が辞退し、定員を満たせていない状況が続いており、県は待遇面の良さや、仕事の魅力をアピールする考えだ。
県では一度の試験で定員を満たせず、追加募集する状態が続いている。そのため、県は2016年度から獣医師の職員を対象に、採用後15年間、基本給に上乗せする「初任給調整手当」の支給額を増やした。最初の10年間は月4万5000円を上乗せする。15年間での総額は675万円と「全国トップクラス」(保健衛生課)という。
さらに、試験会場も、東京、青森市の2会場に加え、16年度からは北里大学獣医学部がある十和田市を追加。17年度からは北海道も加え、県内外で受験しやすくしている。このほか、一定期間県職員として勤務すれば返済が不要になる修学資金の貸与も行うなど、アピールに躍起だ。
効果も表れており、26日に締め切った17年度の募集では、定員13人に対し21人の申し込みがあった。追加分を含まない申し込みは14年度の11人、15年度の9人から、16年度は21人に増えている。
16年度は追加分も含めた受験者が24人で、22人が合格したが、辞退者が出るなどして、最終的な採用は定員より5人少ない8人にとどまった。県保健衛生課は「畜産が盛んな青森県は、多くの動物を診ることができるなど、学生にとっても魅力があることを引き続き発信していきたい」としている。
公務員獣医師の採用では、獣医学部の学生が民間の動物病院への就職を選ぶ傾向が強まり、少なくなった公務員の志望者を各自治体が奪い合っている状況だ。学生たちが自治体を掛け持ちで受験していることも背景にある。
読売新聞が全都道府県に2016年度の採用状況などをアンケート調査したところ、7割超の34都道府県が募集定員を確保できていなかった。合格者が辞退していたのは43都道府県で、このうちの31都道府県が理由として「他自治体との掛け持ち」を挙げていた。
公務員獣医師は、各地の保健所や家畜保健衛生所で鳥インフルエンザや口蹄疫こうていえきなどの伝染病の予防や、食肉の衛生管理などの業務を担っている。(長原和磨)
◆獣医師の採用が募集定員を下回った都道府県
北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、長野県、山梨県、静岡県、石川県、福井県、岐阜県、滋賀県、三重県、大阪府、和歌山県、鳥取県、岡山県、島根県、香川県、徳島県、高知県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県
2017年05月31日 12時32分 読売新聞
http://sp.yomiuri.co.jp/national/20170531-OYT1T50068.html?from=ytop_ylist
http://yomiuri.co.jp/photo/20170531/20170531-OYT1I50020-1.jpg
給与面での優遇をアピールする県のパンフレット
【社会】足りない!公務員獣医師…自治体は奪い合い [無断転載禁止]©2ch.net
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2017/05/31(水) 13:11:25.04ID:CAP_USER9
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