小林よしのり

週刊文春の「加計スキャンダル」記事を読んだが、
文科省の前川前次官の「出会い系バー」の話は、どうやら
実情が全然違っているようだ。

仮にどんな風俗に行っていようが、それは「私的」な問題で、
「公的」に正しいことを言っているのなら、あくまでもその
「公的」な警鐘に耳を傾けるべきだと、わしは思う。

「出会い系バー」の言い訳として、「貧困女性の実地調査」と
前川氏が述べたとしても、そのくらいの言い訳は許してやれよ
と思っていた。

それよりも、読売新聞が政権からのリークで、違法でもない
個人的なスキャンダルを報じて、権力の犬と化す醜態の方が、
実に悪質、低劣で、ジャーナリズムとしては「恥」そのもの、
報道機関の資格を失ったと言ってもいい。

週刊文春には、前川氏が通っていた「出会い系バー」で知り
合った女性の証言が載っている。
売春は全くない。
本当に貧困女性の人生相談に乗ってたようで、女性から感謝
されている。
この女性の母親からも感謝されており、前川氏はこの件を
妻にも報告していたようだ。
「貧困女性の実地調査」というのは本当だったのだ。

前川氏は次官退官後、夜間中学のボランティアをしていた
ようで、この関係者からも信頼されている。

前川氏は、本気で貧困対策に向き合っていた「公的」な
人物で、まさに「公務員」の鏡のような「公明正大」な人
だったのだ。

独裁者というものは、本来的に、小心で、狭量で、卑怯で、
私利私欲でしか動かないものだが、まさに安倍晋三がその
ような性格で、人格において、前川氏の足もとにも及ばない。

前川氏が言論の自由を謳歌できる喜びを語っていたのが、
実に印象的だった。
一度、対談してみたいくらいだ。