http://www.bbc.com/japanese/40155629

ロンドン中心部で7人が死亡、48人が負傷した3日深夜の襲撃事件で、英警察は5日、実行犯らの身元を把握したと明らかにした。

警察は「捜査の上で可能になり次第」、氏名を公表するとしている。

襲撃事件では、ロンドン橋で3日午後9時58分(日本時間4日午前5時58分)、ワゴン車が複数の歩行者をはねて死傷させたほか、近くのバラ・マーケットでは多数の人が刃物で刺された。
過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

警察は5日朝、ロンドン東部にあるニューアムとバーキングの2カ所で家宅捜索を行っていると発表した。

ロンドン警視庁によると家宅捜索の結果、多数の人物が拘束された。バーキングでは、実行犯の一人が住んでいたとみられるアパートで捜索があり、12人が逮捕された。その後、55歳の男性が不起訴で釈放されている。

ロンドン橋の鉄道と地下鉄の駅は5日朝に利用が可能になった。鉄道を運営するナショナル・レールは予想よりも立ち入り禁止が早く解除されたと述べた。

ロンドン橋や近隣の道路も封鎖が解かれた。

警官8人が銃で実行犯に応戦し、50発が発砲され実行犯は射殺された。通行人1人が流れ弾を受けて負傷した。
一方、カナダのCTVテレビは、カナダ人女性のクリシー・アーチバルドさんが犠牲者の一人だと報じた。他の犠牲者の身元はまだ公表されていない。

アーチバルドさんの家族は文書で、アーチバルドさんが「すべての人が価値を認められ尊重されるべきだと強く信じていた」と述べ死を悼んだ。
文書によると、アーチバルドさんは婚約者が住む欧州に移住する前まで、ホームレス支援施設で働いていた。

「さまざまな負傷状態」

過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。

ロンドン警視庁のマーク・ロウリー警視監は、実行犯らを「ただちに阻止しなくてはならない」と認識した上で対応したと語った。

「警官が直面したのは危機的な、生死を分ける状況だった。武装した3人の男は自爆ベルトのようなものを身に着けていた」
自爆ベルトと思われた装備はその後、偽物だと判明した。

ロウリー警視監によると、現在36人が「さまざまな負傷状態」で入院しており、21人が重篤だという。

王立ロンドン病院のマリク・ラマダン医師は、頭を撃たれた男性が同医師の医療チームによって手当てを受け、快方に向かっていると話した。

刃物で刺され病院で手当てを受けているダニエル・オニールさん(23)の母親エリサべスさんは、オニールさんが約18センチの傷を負ったと語った。

エリサべスさんによると、「2件目のバーから出た時に男が彼の前に走り出て、『これは私の家族のため、イスラム教のためだ』と言って刃物で刺した」という。「まだ衝撃が収まっていません。こんなことが起きたなんて、信じられない」。

現場に居合わせ負傷した地元紙サンデー・エクスプレス紙のジェフ・ホー記者は、バー「サザーク・タバーン」の警備員を実行犯から守る手助けをしたと同紙に語った。武術の心得があるホー記者は、「僕がその場にいる限りは止めてみせる」と語った。

4日朝に家宅捜索を受けたアパートでは、制御爆発が行われた。
近所の住民によると、アパートには襲撃時に死亡した実行犯の一人が約3年間住んでいたという。結婚しており、子供も2人いたもようだ。

匿名希望の男性がBBCラジオのエイジャン・ネットワークに語ったところによると、実行犯の一人は過去2年の間に強い過激思想を抱くようになっていたという。

「とある攻撃事件をついて彼と話した時、大方の過激主義者と同じように、どんなことでも正当化する理由を持ち出した。なんでもかんでも」

「だからその日になって、通報しなきゃならないと気づいた」と男性は話したが、当局による対応はなかったという。
「自分のすべきことはした。(中略)でも当局はすべきことをしなかった」。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 London attack: 12 arrested in Barking after van and knife attack)