昭和41年に起きたいわゆる「袴田事件」で、再審・裁判のやり直しが認められる決め手となった弁護側のDNA鑑定について、
検証を行った別の専門家が「同じ手法ではDNAを抽出できなかった」とする最終報告を裁判所に提出したことが関係者への取材でわかりました。

昭和41年に、今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定していた袴田巌さん(81)について、
3年前、静岡地方裁判所は、犯人のものとされる血痕のDNAの型が袴田さんと一致しなかったという弁護側の専門家の鑑定などをもとに、再審を認める決定を出しました。

これに対して検察が鑑定の検証を求めたため、東京高等裁判所は別の法医学の専門家に検証を依頼し、
ことし2月、鑑定の手法に疑問があるとする中間報告が提出され、関係者によりますと、6日、最終報告が提出されたということです。

それによりますと、古い血痕のサンプルを使ってDNAを抽出した結果、通常の方法では成功したのに対して、
弁護側の専門家の手法では失敗したということで、「同じ手法ではDNAを抽出できなかった」と結論づけています。

一方、袴田さんの弁護団は、「鑑定結果が否定されたわけではない」などと反論していて、対応を検討しています。

今回の検証をめぐって、東京高裁は、今後、DNA鑑定を行った専門家と検証を行った別の専門家をそれぞれ裁判所に呼んで質問する意向を明らかにしていて、どのような判断を示すか注目されます。

袴田さんの姉「気にしていない」

袴田巌さんの姉のひで子さん(84)は「再審が認められる決め手となったDNA鑑定の結果を信用しているので、検証実験で再現できなかったとしても気にしていない。
これまでどおり無罪判決を勝ち取るために闘っていきたい」と話していました。

配信 6月6日 17時55分
NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170606/k10011008421000.html