これまでに発見された中で最も古い30万年前の現生人類(ホモ・サピエンス)の化石が、北アフリカのモロッコで発見されたとして、ドイツなどの研究チームが7日の英科学誌ネイチャーに論文を発表した。これまでに見つかった中で年代が特定できた化石は、20万年前のものが最古とされていた。

ホモ・サピエンスの化石はこれまで南アフリカや東アフリカで発見されていたが、北アフリカで見つかったのは初めて。これで「人類の揺りかご」がアフリカ大陸全体に広がったことになると研究チームは解説している。

見つかったのは青少年期の3体と青年期の1体、推定8歳の子ども1体の計5体の化石で、頭蓋骨(ずがいこつ)の一部や下あごの骨などが含まれていた。同じ地層からは石器や動物の骨、たき火の跡も発見された。

頭蓋骨は顔の特徴が現代の人類とよく似ているものの、頭蓋は細長い形状で、初期の人類の原子的な特徴を備えていた。独マックス・プランク進化人類学研究所の研究者は、「もし30万年前のホモ・サピエンスが今ここを歩いていたとすると、帽子さえかぶればその姿は私たちと非常によく似ているだろう」と語る。

化石はモロッコで1960年代に行われた鉱山開発で出土して、2004年から現場の発掘調査や年代測定が行われた。その結果、遺跡は30万〜35万年前のものと推定され、ホモ・サピエンスが東アフリカに限られていたとする定説も覆された。

「30万年前ごろには、初期のホモ・サピエンスが既にアフリカ全土に分散していたと思われる。33万年〜30万年前のアフリカは今とは全く違う姿をしていて、サハラ砂漠も存在せず、ほかの大陸とつながる部分もたくさんあった」。研究者はそう解説している。

ソース/CNN
https://www.cnn.co.jp/fringe/35102457.html

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