違法「民泊」、苦情相次ぐ=特区の大阪市
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017061000211&;g=soc

 民家やマンションの空き部屋を旅行者らに有料で貸し出す「民泊」のルールを定めた住宅宿泊事業法が9日に成立した。政府が2018年1月の施行を目指す中、国家戦略特区として民泊を一足早く解禁した大阪市では、違法民泊の増加や騒音、ごみ問題で市民から苦情が相次ぎ、市は対応に苦慮している。
 16年に大阪府内を訪れた外国人客は前年比約31%増の約941万人で、過去最高を更新中。大阪市では東京都大田区や大阪府に続いて昨年10月に民泊が解禁され、需要も増加の一途をたどっている。
 解禁前から民泊関連の苦情が増えていたため、大阪市は解禁に合わせ通報専門窓口を設置。今年3月末までに900件の相談が寄せられた。
 最も多かったのは、無許可営業を疑う相談で672件。相談を受けた市は営業者に接触を図るが、連絡が取れるケースは少ない。物件の所有者からたどろうとしても、個人情報保護の関係から情報が開示されず、特定に至らないことが多いという。現場の担当者は「調べる手だてがない。八方ふさがり状態だ」と頭を抱える。
 相談は他に、騒音関連が70件、ごみのポイ捨てなどが46件。住民が旅行者に注意してトラブルに発展するケースもあり、市は関係機関とともに対応に追われている。
 観光客のさらなる増加を見込む部署の担当者は「違法な民泊を減らし、市民の不安を拭い去らなければ」と話すが、現場の担当者は「数が多過ぎてチェックは不可能だ」と漏らしている。(2017/06/10-05:19)