「米青年が北朝鮮に拉致」と米メディア一斉報道 日本に好影響も

【北朝鮮拉致】「米青年が北に拉致」と米メディアが一斉報道 「ユン・ボンスと名乗り平壌で英語教師」…日米連携で拉致解決に好影響も


【ワシントン=古森義久】米国の多数のメディアが「12年前に中国で消息を絶った米国人青年、デービッド・スネドン氏=当時(24)=が実は北朝鮮に拉致され、現在は平壌で英語教師をしている」と4日までに一斉に報じた。

米議会、政府に本格調査迫る

 米国議会には同氏の失踪について日本側からの情報も基にして米政府に本格調査を求める決議案が提出されている。今回の報道を機に、スネドン氏失踪事件が新たな展開をみせ、日本人拉致事件の解決にも前向きな影響を与える可能性も出てきた。

 米国ではニューヨーク・デーリー・ニューズ紙、USニュース・アンド・ワールド・リポート誌、CNNニュースなどがスネドン氏拉致を伝えた。

韓国の拉致被害者団体「拉北者家族会」の崔成龍(チェ・ソンヨン)代表の証言を伝えた共同通信などの報道を根拠としている。
崔氏は「2004年8月に中国の雲南省で失踪したスネドン氏は北朝鮮工作員により拉致され、平壌で現地の女性と結婚して2児の父となり、ユン・ボンスと名乗って英語教師をしている」との情報を北朝鮮内の消息筋から入手したという。

「中国にも問題提起を続けている」

 米国務省報道官は米側での報道について「スネドン氏が北朝鮮工作員に拉致されたことを示す確固とした証拠は得ていないが、この案件には注意を向けており、中国政府にも問題提起を続けている」と述べた。

 米議会上下両院ではスネドン氏の出身地のユタ州選出議員らが中心になって各米政府機関に本格的調査を求める決議案を2月に提出し、計26人の両院議員が共同提案者となった。

 決議案提出には日本の拉致被害者支援組織「救う会」関係者から情報が提供された。
元拉致問題担当相の古屋圭司衆院議員が米側上下両院に決議案の提出と審議を継続して訴えてきた。米側でスネドン氏の北朝鮮拉致が確実とみて本格的調査を始めれば、日米連帯による日本側への好影響も期待される。

 米側での報道の結果、米議員らから在米日本大使館への問い合わせも増え、決議案への賛同議員も多くなることが予想される。