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【6月17日 時事通信社】パレスチナ自治区のガザ地区が、イスラム原理主義組織ハマスの実効支配下に入ってから10年たった。ハマスをテロ組織とみなすイスラエルによる封鎖に加え、パレスチナの内紛で政治・経済の機能不全も深刻化し、しわ寄せが市民に及んでいる。

 ハマスは2007年6月、ガザ地区全域を武力制圧。パレスチナ自治政府議長が率いるファタハの政治勢力は駆逐された。これにより、自治区はハマスが支配するガザ地区と、ファタハが統治するヨルダン川西岸側とに分裂した。両者は14年6月に統一暫定政権を発足させたが、相互不信は根深く、対立は解消されていない。

 「市民が一番代償を支払っている」。ガザ市東郊シュジャイヤ地区に住むサレム・カドムさん(40)は憤った。ファタハ系治安部隊員だったカドムさんは10年前に失職し、「ファタハのメンバー」との理由でハマスに3回逮捕された。「ハマスに税金を払っているのに、電力不足も水不足も問題は何も解決していない。私たちは、さらに10年苦しむだろう」と肩を落とした。

 ガザの失業率は40%以上に達し、世界最悪レベルとされる。この10年で3度にわたってイスラエルとの大規模交戦があり、そのたびにガザ地区は荒廃した。

 カタールと他のアラブ諸国との断交問題も影を落とす。ハマスにとってカタールは強力な後ろ盾だが、サウジアラビアなどは「カタールがハマスなどテロ組織を支援している」と非難。今回の問題を受け、既に一部のガザ支援事業が止まり、市民の暮らしへの新たな打撃となっている。(c)時事通信社

2017/06/17 15:26(イスラエル)