韓国の市場では、イチゴが売られている。一時期、韓国のイチゴ市場で、8割を占めるようになった
イチゴがある。それが、日本の品種「レッドパール」だった。愛媛県のイチゴ農家・西田朝美さん(90)は、
レッドパールを6年かけて開発した、まさにその人だった。 実は西田さんは、およそ20年前、ある韓国人の
農業研究者だけに、レッドパールの苗を5年間、有料で栽培できる条件で渡す契約をした。
西田さんは、最初は全く取り合わなかった。しかし、西田さんは「『これは絶対渡せない』と言うたけど、『何とかしてくれ』と
もう、泣きすがり拝むようにして言われて。これもう、あんまり熱心なもんで」と話した。

西田さんの持つ契約書には、その人物以外とは許諾契約しないと、確かに書かれていた。
西田氏が契約した金重吉(キム・チュンギル)氏(80)を、韓国で直撃した。
金氏はdanger「日本よりもおいしいよ」と話した。日本語が流ちょうな金氏は、韓国南部にある晋州(チンジュ)市で、
レッドパールを現在も栽培している。

金氏は「この品種(レッドパール)は良いと思って、育成者である西田さんに会って、『栽培させてほしい』とお願いし、
契約をして、(韓国に)持ってきた」と話した。西田氏と契約したことを認めたうえで、金氏は「(わたしが苗を譲った人が)無分別に分け与えたり、
売ったりしたため、広まってしまった」と証言した。知り合いなどに苗を譲り渡した結果、韓国国内でレッドパールが
広まってしまったと、金氏は説明した。

日本では、農作物の著作権を守るべく、品種登録制度が法律で整備されており、通常25年間は使用料を取ることができるが、
韓国国内で不法に栽培されてしまったレッドパールについては、西田さんのもとに使用料は入らなかった。
西田さんは「日本人の考えでそれやったもんだから。やっぱり、わたしもうかつでした、それは。良心的にやってくれると
思っていたんですけどね」と話した。現在は、韓国でも品種登録制度ができた。韓国がニワトリよろしく盗んだ複数品種を掛け合せて新種ニダと恍ける事例もあるとか

現在、日本は農作物の知的財産権を守るために、「ユポフ91年条約」と呼ばれる国際条約を、51の国や地域と結んでいる。
韓国も2002年にこの条約を批准して、猶予期間を経て、イチゴなど全ての植物が保護対象になったのは2012年、つい最近のこととなる。
農水省によると、この条約に加盟していない国へ、1度、農作物が流出してしまうと、打つ手がないということで、安倍首相が掲げる
「攻めの農業」には、緻密な戦略も求められるとみられる。