メスのマウスの脳で、オスに魅力を感じる神経回路と、敵を察知して逃げる回路が隣り合わせにあることが、東京大学の東原和成教授(農学生命科学)らの研究でわかった。オスが分泌するフェロモンをかいだメスの神経伝達を追跡した。同じフェロモンでもオスがかぐと攻撃的になる仕組みもわかったという。米科学誌ニューロン電子版で23日発表した。

 マウスで異性や同性、天敵からのにおいやフェロモンによって性的な行動や攻撃行動、警戒行動を起こすことがわかっていたが、神経伝達の詳細な神経経路は不明だった。

 東原さんらは、オスのマウスの涙液に分泌される「ESP1」というフェロモンや、蛇の抜け殻から危険シグナルとなる何らかの物質が、メスのマウスの鼻腔(びくう)に入り脳に伝達されてからの経路を追跡。オスのフェロモンには交尾の受け入れ行動を示し、蛇の抜け殻には警戒的な行動を示した。いずれも伝達回路が脳内の性差や感情に関係する扁桃体(へんとうたい)に存在していた。

 オスのフェロモンに対してオスが攻撃的な行動を移す経路もへんとう体にあったという。(服部尚)

2017年6月24日0時27分 朝日新聞
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