山中に金などの財宝を隠したとするサンタフェの富豪フォレスト・フェン氏(2014年)
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【サンタフェ(米ニューメキシコ州)】米ニューメキシコ州北部の山中に金などの財宝を隠したとするサンタフェの富豪が、「トレジャーハンティング(宝探し)」の中止を検討している。最近、宝探しをしていた男性が死亡したためだ。

アンティークディーラーのフォレスト・フェン氏(86)が開催している宝探しは、サンタフェの北に位置するロッキー山脈に多くの人を引き寄せてきた。
しかしコロラド州の牧師パリス・ウォレスさん(当時52歳)が死亡したことを受けて、同氏は宝探しについて考え直していると述べた。

フェン氏は「いくつかの選択肢について考えている。中止もありうる」とし、「友人たちに相談している」と述べた。

ウォレスさんは6月半ばにコロラド州グランドジャンクションの自宅からニューメキシコ州に向かった。多くの人と同様、フェン氏が隠したとする金入りの箱を見つけるためだった。
ウォレスさんとみられる遺体が発見されたのは18日。ウォレスさんが宝探しをしていた岩場からそう遠くないリオグランデ川に浮かんでいた。

ニューメキシコ州警察のピート・カセタス署長は、宝探しがあまりに危険になっているとしてフェン氏に中止を求めてきた。
署長は「これが続けば、また誰かが遭難し、捜索が行われ、誰かが死亡する」と述べ、「フェン氏に問いたいのは、それを避けるために我々に何ができるかだ」とした。
フェン氏は今後どうするかはわからないと述べた。

フェン氏は約7.5キロの金や有史以前の貴重な宝石などが詰まったブロンズ製の箱を隠したとしている
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同氏が2010年に自費出版した回顧録「The Thrill of the Chase」に書かれたヒントを頼りに、7年前から多くの人が一帯を訪れている。
途中で道に迷った人もいるが、当局は正確な数を把握していないとしている。フェン氏の言う「宝」は同氏の孫娘だと信じ、つきまとった男もいた。

フェン氏の回顧録には、9つのヒントをちりばめたとされる詩が書かれ、財宝の入った箱が埋まった場所に人々を導くとされる地図が描かれている。

同氏は、約7.5キロの金、有史以前の貴重な腕輪、首飾り、宝石が詰まったブロンズ製の箱を実際に隠したと話している。
一部のトレジャーハンターはその価値について、100万〜200万ドル(約1億1000万〜2億2000万円)と推計している。

フェン氏は追加のヒントを小出しにしてきた。この宝探しについてブログを書いている男性によると、世界中からニューメキシコに集まった人は過去7年で10万人を超えた。

ニューメキシコでは毎年、トレジャーハンターや家族がフェン氏の謎を解くために集まってキャンプをし、お互いの経験を話すイベントまである。
だが謎は解かれておらず、そもそも本当に宝が埋められているのかと疑う声も出ている。

宝探しで命を落としたのはウォレスさんだけではない。昨年夏には、広範な捜索の結果、約7カ月前から行方不明になっていた54歳の男性の遺体がリオグランデ川流域で見つかった。

配信 2017 年 6 月 26 日 15:29 JST
ウォール・ストリート・ジャーナル
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