『地中海に沈む難民をイタリアは見捨てた』
13年10月、シリア難民を中心に多数が地中海に沈んだ密航船の事故。
当時、救助を要請する彼らをイタリア当局が見捨てた――そんな事実を示す音声テープがリークされた。
欧州を目指す難民約500人を乗せてリビアを出港した船は、イタリアのランペドゥーサ島沖で転覆。
260人以上が死亡した。

イタリアの週刊誌レスプレッソはこのときの救助要請の音声を入手し、先週報道した。
それによれば、転覆の約5時間前から船員が救助を求めていたが、イタリア当局は数回にわたって要請を拒否し、マルタに助けを求めるよう指示していた。
事故発生時、密航船が漂流していたのはマルタの担当海域だったが、マルタよりもランペドゥーサ島に近く、イタリアの救助船も30キロの至近距離にいた。
マルタとイタリアでたらい回しされる間に船は転覆した。
13年以降、地中海を渡る難民の死亡事故は多発。
今年は既に1300人以上が死亡・行方不明になっている。
救助活動も活発に行われているが、人命救助に後ろ向きな当局の本音が明らかになってしまったようだ。
(ニューズウィーク 2017年05月23日号)より