https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170630-00000070-asahi-soci

兵庫県と愛知県で相次いで発見されたヒアリは、体長2・5〜6ミリで、
透明感のある赤茶色。触角の先端がこん棒のように太く、腹と胸の間に
二つの「こぶ」があるのが特徴だ。ただ、似たような種類も多く、一般の人が
見分けるのは難しい。

原産地は南米中部。貨物船などにまぎれて移動し、米国や豪州、中国、
台湾などにすでに定着している。

国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長によると、
ヒアリの女王アリは巣(コロニー)の中で1日千個以上の卵を産む。
孵化(ふか)して成虫に育つまで約1カ月。アリの多くの種類は一つの巣に
女王アリが1匹いるだけだが、ヒアリの場合は複数匹がほとんど。
100匹確認されたコロニーもあるといい、繁殖力が強い。5月26日に
兵庫県尼崎市で、コンテナ内部からヒアリが国内で初めて確認された際には、
成虫に加えて幼虫や卵も見つかっている。

一つの巣には働きアリが1万〜数十万匹いる。寿命は女王アリが6〜7年ほど、
働きアリが1〜2カ月ほどだ。

ヒアリは「引っ越しが得意なアリ」でもある。エサを求めて1年に数百メートル移動し、
川を渡るという報告もある。数年かけて高さ数十センチにも及ぶドーム状のアリ塚を作る。
集団で爬虫(はちゅう)類や小型の哺乳類を攻撃し、捕食する。一度定着すると
根絶は難しく、生態系への影響も心配だ。

九州大の村上貴弘准教授(行動生態学)は「ヒアリは繁殖力が強く、在来の昆虫
などへの影響も大きい。分布域を確認し、とにかく封じ込めることが大切だ」と話す。

もし、毒針で刺された場合は、20〜30分の安静が必要だ。刺されると、やけどのような
激しい痛みを感じ、腫れや発疹、動悸(どうき)やめまいなどの症状が生じる。
症状が悪化すれば、すぐ病院で受診する。アレルギー反応のアナフィラキシーショックで
意識を失い、死亡する例もある。


ヒアリの特徴
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20170630-00000070-asahi-000-view.jpg