6月の世論調査では安倍政権の支持率に関しては、どのメディアでも軒並み10ポイントほど下落したが、
世代別で見ると、30歳以下では依然として60%以上が支持している(読売新聞6月17、18日調査、全体では内閣支持率は49%)。

中でも注目すべきは、ここ数年で大きく伸びてきている東大生の自民党支持率だ。。

東京大学新聞社が毎年新入生を対象に行なっている調査によると、自民党の支持率は近年劇的に上昇している。
今年4月の調査では36%に達し、過去30年で最高を記録した。特に70%前後を占めていた『支持政党なし・わからない』という無党派層の変化が大きい。
2013年以降は10ポイント以上減り、その分自民党支持が増えている。

昨年から実施された「18歳選挙権」で初めて投票権を手にし、自民党を支持している東大生たちにその理由を聞いた。

■現状肯定派■

■工学系研究科修士2年・関東地方公立高校出身

自民党は長く政権を担当しており、政治手法がブラックボックス化されている点はよくないと思いますね」

それでもこれまで自民党内でじっくり議論されてきた政策の積み重ねを評価している。

「理想は政権のチェック機能としての野党がいる二大政党制だけど、いまや自民党内の派閥だけでも十分かもしれないですね」
自民党内も一枚岩ではないので、派閥間でうまくパワーバランスを取れば悪い方向にはいかないのではないかと分析する。

安倍政権下で日本の若者が内向きになっているという意見についても、「『日本らしさ』を追求するようになったんじゃないですか」と話す。
「自分が専攻する学問においても、西洋的な価値観を重視してきたことへの批判もありますし、世界がこうだから日本も、という風にはならないですね。
世界ではなく、日本を支点に物事を考えています」

■法学部3年・都内私立高校出身

「まず、企画の前提が間違ってますよね。東大生なんて高所得者層の子どもが多いんだから、現状肯定派なのは当然じゃないっすか」
「日本は再チャレンジができない社会と言われているけれど、さっしー(指原莉乃)と安倍総理は一度どん底に落ちたところから這い上がった。
自分も一浪しているので、そこに共感する」

安倍政権はもっとも重要な安全保障政策と経済政策が「ちゃんとできている」という。「教育とかは反対する人がいないから、そもそもイシューにならないですよね」

「国が好きっていうのに右も左もないのに、安全保障を議論すると、すぐ軍隊万歳、戦争賛成みたいに思われ、臭いものに蓋をするみたいな事なかれ主義が蔓延している。
欧米がいいからなんでも真似をするというのは思考停止。そういうのは後々、じわじわ悪い方向に行くと思います」

■消極的支持派■

■工学部3年・地方公立高校出身

「たまにテレビで見ると、民進党などの野党は論理的じゃない感じがする。理論として正しいか否かではなく、ただ相手を言いくるめればいいという雰囲気が苦手」
政治には全く興味がなく、ニュースも科学関連のニュースをチェックするくらいだ。それでも「自民党や安倍総理には悪い感じはしない」。

「野党が好きではないので、一応自民党を選ぶかなって感じですね」。

■文学部3年・都内私立高校出身

「東大に入る前、ちょっとだけ自衛隊にいたんです。その経験もあって、なんというのかな、ネットとかで政治をゲームみたいにとらえてるような人たちに嫌気が差して、
この世の中に関わりたくなくなってしまって……」

いまは西洋哲学を専攻しつつ、ラテン語、古代ギリシャ語を含めた6カ国語を独学で勉強している。
特異な経歴を持つ彼女が自民党を支持する理由は「ひとつずつ候補をつぶしていったら自民党しか残らない」。
まず緊縮・増税派の共産党、社民党、民進党はNG。日本維新の会は地域党色が強すぎる。
「高等教育無償化のために憲法改正」とうそぶくような自民党の正々堂々としない態度はどうかと思うが、国にとってもっとも重要な経済政策と国防政策を見るとやっぱり自民党だ。

「それにしても、今の日本は保守と革新が転倒してますよね?。それが面白いな、と」