一審の大阪地裁岸和田支部で作成された公判調書の正確性が問題となった自動車運転処罰法違反(過失傷害)事件の控訴審判決で、大阪高裁は6日、禁錮1年4月、執行猶予3年の一審判決を破棄、審理を差し戻した。

高裁の福崎伸一郎裁判長は、地裁支部での手続きで弁護側が「調書の内容が異なる」と異議を申し立てたのに対し、担当裁判官が回答した内容に関し「あえて事実と異なる意見を書記官に記載させた可能性を否定できない」と指摘。
「公判の結論に影響を及ぼす明らかな法令違反がある」と結論付けた。

問題となったのは、一審で事故の被害者の家族が被害者参加制度を利用し、男性被告に質問した際の手続きを記録した調書。
検察側が刑事訴訟法の規定通り、質問が相当かどうかの意見を裁判官に述べたとの内容だったが、弁護側は「検察官は当時何も述べておらず、記載は事実と異なる」と主張していた。

一審判決後に弁護側が異議を申し立てたが、岸和田支部の大崎良信裁判官は「検察官から意見が明確に述べられ、裁判官と書記官が確認した」と回答。
控訴審では高裁が職権で証人尋問を実施し、調書を作成した男性書記官が「録音と記憶を基に作成した」と述べていた。

配信 2017.7.6 13:10更新
産経WEST
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