ー「私たち」と「こんな人たち」を対決させる政治ー

常日頃から安倍さんは、「敵」、すなわち「こんな人たち」認定した者に対しては、やたらと攻撃的だ。
それは、首相でありながら、国会で民進党の議員の質問にヤジを飛ばして、委員長から注意をされる場面からも見て取れる。
野党の議員の後ろにも、たくさんの国民がいるということを理解していたら、こういう態度はとれないだろう。
安倍さんにとっては、野党議員に投票するような人たちは、自分が奉仕すべき国民というより、「こんな人たち」程度の存在なのではないか。
その一方で、彼は「私たち」の中に入る身内や仲間をとても大切にする。
第一次政権では、仲間を大事にしすぎて「お友だち内閣」との批判を浴びた。
稲田防衛相への対応などを見ていると、その教訓は未だ生かされていないようだ。
仲間を大事にするのは、1人の人として見れば美徳だが、特区制度を利用した獣医学部新設をめぐっては
「腹心の友」とまで呼ぶ親友を特別扱いしたのではないかとの疑念を生む一因にもなっているように思う。
敵を作り、それと「私たち」を対峙させることで、存在価値をアピールする。
敵を批判し、嘲笑し、数の力で圧倒して、自らの強さと実行力を見せつける。
そんな対決型の姿勢を、「決める政治」や「歯切れのよさ」「スピード感」として評価する人たちがいる一方、無視され、軽んじられてきたられた人々の不満はたまりにたまっていた。
そして、対決型を推し進めることで、政治はますます粗雑になり、できるだけ広範な人たちの合意を得ていくという地道な努力をしなくなっていった。
これには、長年自民党を支えてきた保守層の中にも違和感を覚えた人が少なくなかったろう。

https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20170703-00072877/