松波総合病院(岐阜県笠松町)は8日、肥満症の新たな治療法の開発に向け、東京大学と共同研究を始めると発表した。
 小腸の内壁を穴の開いた筒状の人工膜(インナーシャントソック)で覆い、栄養素の消化吸収を妨げる。同院での子豚を使った実験で体重増加の抑制が確認されたといい、3年以内の臨床実験を目指す。

 現在、肥満症治療で行われている胃の一部を切って栄養素の吸収を制限する手術は、食欲が減退しても元に戻せず、高齢になると体重が減少する心配があった。インナーシャントソックは、内視鏡を使って口から挿入する方法を想定しており、取り外しが可能という。
 記者会見した同病院の松波英寿理事長は「肥満症の治療を簡単に行えるよう、実用化を目指したい」とし、東大の瀬戸泰之教授は「世界中で肥満の治療が課題になっており、『夢の治療』と言える」と話した。研究は、東大の社会連携講座「肥満メタボリックケア講座」の一環で行われる。

 厚生労働省の2015年の国民健康・栄養調査によると、男性の29・5%、女性の19・2%がBMI(体格指数)25以上で肥満とされている。

http://yomiuri.co.jp/science/20170709-OYT1T50015.html