安倍首相の「岩盤規制」「抵抗勢力」という表現は、著しくミスリードのものである。
以下、その理由を述べる。

まず、「岩盤規制」については、文科省の大学設置認可権限のことを指しているのだろう。
国家戦略特区(以下、「特区」とする)の適用により実際に規制が緩和されているならば、
正しく「岩盤規制」を破ったことになろう。
しかし実際には、特区の認定を受けても、文科省による通常の設置認可審査を受けるのである。
したがって、規制が緩和されたとは言えない。

次に、「抵抗勢力」については、日本獣医師会のことを指しているのだろう。
しかし、彼らには大学設置に介入する権限はない。
政府が本当に必要と考えるならば設置認可すれば良いだけのことで、
それこそが政治主導というものだ。

以上を前提にして、獣医学部を擁する大学の新設が本当に必要ならば、首相が主導して閣議決定をする。
然る後に、文科省が設置認可申請を受け付け、申請者の中から最適格の者に対し、設置認可を行えば良いだけの話だ。

以上により、特区を用いる必然性は全くない。
前述のとおり、「岩盤規制」だの「抵抗勢力」だのの内実は存在せず、妄言に等しい。